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静岡連載

平成人<3> 浜松インターナショナルスクール初代校長 鈴木 ステラさん

鈴木(すずき) ステラさん 23歳 平成6年生まれ

◆英語を身に付け世界へ

 アジアやヨーロッパ、さまざまな国籍の子どもたちが、英語を共通言語として会話し、授業を受ける。浜松学院大三年の鈴木ステラさん(23)は一年のとき、「浜松インターナショナルスクール(HIS)」を校内で立ち上げ、初代校長を務めた。

 母親の古里のフィリピン生まれ。母親は十九年前に来日し、浜松市で働いていたとき、日本人の父親と結婚した。鈴木さんが生まれてからも両親は浜松で過ごし、鈴木さんはフィリピンにいる叔母のもとで十三歳まで育った。

 二〇〇七年に来日し、浜松市の公立中学校に入学した。フィリピンでは英語とタガログ語で生活していたため「日本語が全く分からなくて、本当にみじめだった」と振り返る。周囲に外国人生徒がおらず、言語をサポートする就学支援員もいない。日本語で書かれた問題文が読めず、英語のテストですら零点だった。他の生徒が笑っているだけで、悪口を言われているような気分になった。

 叔母から「知識は唯一の財産」と育てられた鈴木さんにとっては、屈辱でしかなかった。その経験が、HISをつくる原動力となった。

 「マイノリティーの子どもたちが、英語を身に付けて世界で活躍できるようになれば」

 HISは、鈴木さんとその思いに賛同した同大地域共創学科の津村公博教授、有志の学生が立ち上げた。平日は公立校に通う小学生を対象に、土曜日に算数や芸術を英語で教える。

 授業料は無料で、教材費は月二千五百円ほど。現在は約三十人が集まる。学生はスケジュール管理や成績表の作成など運営を担い、教材費のみで講師の給料を賄う。

 一九九〇年の入管難民法改正で「定住者」の在留資格が新設され、主に日系人を中心に外国人労働者が急増。法務省の統計によると、この年に約百七万人だった在留外国人数は、約三十年間で約二百三十八万人へと二倍以上に増えた。

 鈴木さんは、国際的に活躍できる人材育成に加え、日本での生活支援にも心を寄せる。「彼らが生きやすい社会を築いてあげたい」と思うからだ。

 自分は、片仮名の名前、というだけでアパートの部屋を借りられない経験をした。「本当に支援が必要な子どもに届くような情報発信を」と求める。

 経済的に厳しい家庭が少なくないことから、大学のゼミの一環で、学内で子ども食堂を開くことも。子どもたちと一緒に、煮込みハンバーグなど手の込んだ料理を作ったり、バーベキューをしたりした。

 将来は、小学校から大学まで一貫したインターナショナルスクールをつくり、校長となることを思い描く。「外国人労働者の子どもこそ、英語を身に付けて一発逆転できるような人生を歩んでほしい」と願う。

取材・片山さゆみ(平成4年生まれ)

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