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静岡連載

「既読スルー」いいら! ゆったり人物伝<2>

◆高校生スマホ夜間自粛 心おきなく お眠りよ

高校生のスマートフォン規制を県内で初めて提案した富士高校の石川直樹教諭=富士宮市の外神スポーツ広場で(立浪基博撮影)

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 <高校生は夜十時以降のスマートフォン使用を自粛すること>

 富士、富士宮両市の公立高九校と私立高二校で二〇一四年四月にこんな共通ルールが県内で初めて定められ、沼津駿東地域と三島田方地域にも広がった。

 提案したのは、富士高で体育と生徒指導を担当する石川直樹教諭だ。デジタル機器をあまり好まない五十三歳。私用でメールは使わない。スマホを最近買ったが、アプリはほとんど入れていない。

 「人とは常に面と向かって話したい」との信念もあるから、SNS(会員制交流サイト)の利用は考えたこともない。このご時世だから生徒がSNSを使うのはまあ良いと考えるが、彼らの生活リズムの乱れを心配している。

 それは無料通信アプリLINE(ライン)などで、短文やスタンプの交換がだらだらと終わらないことだ。

 「ある生徒が就寝前に何となくメッセージを送信すれば、受信した生徒も何かメッセージを返す。そのままやりとりが続いて双方の睡眠時間が犠牲になっていく。日中の授業に集中できなくなる」と憂う。

 メッセージを読んでも返事をしないのは若者たちの間で「既読スルー」と呼ばれ、感じが悪いとみる風潮がある。仲間はずれやいじめの原因にもなりかねない。

 友人関係を壊す不安に互いに駆られ、深夜も十分眠れずに、スマホを手放せなくなった生徒たち。石川教諭には「スマホに縛られている」と見えていた。

 解決のためには、富士高だけでルールを設けても効果は望めない。生徒たちは他校の友人のメッセージを既読スルーできないからだ。「地域ぐるみで規制しなければ」。富士、富士宮両市の高校十一校の生徒指導の先生の集まりで提案し、それぞれのPTAを巻き込んだ。

 規制の導入から一年後の昨年春、富士高は校内で無記名アンケートをした。スマホの夜間自粛を「良い」と評価したのは生徒全体の六割を超えた。

 アンケートで感想を書く欄では、深夜にスマホをこっそり使おうとする生徒と親の「けんかの火種になっています」という声もあった。それでも、石川教諭の狙い通り「学校の決まりを言い訳にしてメッセージに返信しなくて済む」と既読スルーの不安からの解放を喜ぶ声もあった。

(小佐野慧太)

 <スマホ依存> 総務省の昨年の調査によると、スマホを1日6時間以上使う高校生は平日が6・5%、休日が16%で、利用時間の82%がラインなどのSNSに充てられている。厚生労働省の研究班は2013年に国内のネット依存の中高生が51万人に上るとする推計を発表。スマホやネットへの依存を病気とみるかは議論が分かれるが、米国精神医学会は13年に作成した国際的な診断基準「DSM−5」で「今後追加されるべき診断名」としている。

 

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