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静岡連載

J1帰還 ジュビロ 新たなる挑戦<中>

◆限界超え 走り抜く

試合前の練習で声を出す磐田の菅野淳フィジカルコーチ=大分市の大銀ドームで

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 昨季のジュビロ磐田のリーグ戦での総失点は55。特に試合時間が残り15分を切ってからが16失点と三割近くを占めた。勝負を左右する終盤に守りきれなかった姿が数字から浮かび上がる。象徴的だったのが、J1昇格の最後の望みをかけたプレーオフ準決勝のモンテディオ山形戦。1−1のまま引き分ければ決勝進出が決まる後半ロスタイム、相手GKにまさかの決勝ゴールを許した。

 一試合、そして一シーズンを最後まで走りきれるスタミナ。J1昇格に足りなかったピースを埋めるために今季就任したのが、菅野淳フィジカルコーチ(50)だ。かつて磐田の黄金期を支え、九年ぶりに復帰した菅野コーチは「選手の限界値を基準値にする」をテーマに掲げた。例えば、ある選手が五十メートルダッシュを十本が限界値だとする。「菅野理論」では十本を基準と考え、十一本、十二本と、限界値を伸ばしていく。

 今年四十八歳で現役復帰した元日本代表のストライカー中山雅史選手(アスルクラロ沼津)は磐田時代、菅野コーチの指導の下、三十歳を過ぎてから二度の得点王に輝いた。体力の限界に挑戦するトレーニングが、今年の磐田の土台になった。

 開幕前の鹿児島キャンプは、春季キャンプとしてはこれまでで最長の十八日間におよんだ。選手をギリギリまで追い込む一方で、ゲーム形式の練習も随所に取り入れ、ストレスを発散させた。アメとムチの絶妙な使い分けに、ある主力選手は「苦しい練習でも、知らない間に終わっていたことが多かった」と振り返る。

 開幕ダッシュに成功した後も、手綱は緩めなかった。一日二部練習などで、体力の強化を継続した。走り込んだ成果は、選手のコンディションに表れた。長期離脱を伴う大きなけがもなかった。

 肉体的な強さは、攻守の切り替えや状況判断の早さを求める名波浩監督(42)のサッカーを下支えした。リーグ戦の総失点は43と大幅に減り、残り15分の失点は相変わらず課題として残ったものの12にとどめた。昨季はシーズン後半に失速したが、今季は終盤を十三戦負けなしで締めくくった。

 昨季のプレーオフ山形戦。勝ち越しゴールを喫した時点で、ピッチ上に足がつっている選手が三人いて、反撃の余力はなかった。昇格を決めた二十三日の大分トリニータ戦も試合最終盤に痛いゴールを許すという同じ局面に立たされたが、そこからゴールを奪い返し、昨季との違いを証明してみせた。菅野コーチは「けが人が出なかったことで、逆に若手の出番が少なかったことは皮肉な結果かも」と苦笑いしながらも、選手の進化に手応えを感じている。

 

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