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静岡連載

J1帰還 ジュビロ 新たなる挑戦<上> 

 ジュビロ磐田のJ1復帰が決まった。J2で苦闘と試行錯誤の二年を過ごしたかつてのチャンピオンチームは、再びJ1で輝けるのか。昇格の舞台裏を追うとともに、来季の課題を探る。

◆一体感 選手に浸透

J1復帰を果たし名波監督を胴上げする磐田の選手ら=23日午後、大分市の大銀ドームで(川戸賢一撮影)

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 昇格争いが大詰めを迎えていた十月三十日。練習中に鋭い声が飛んだ。「ジェイ、握手して」。声の主は名波浩監督(42)。紅白戦で激しく接触してきた若手選手にFWジェイ選手(33)が怒りをあらわにし、険悪な雰囲気になりかけたその時だった。ジェイ選手は和解を促す監督の命に従い、素直に若手選手と握手を交わした。得点ランキングトップを走る元イングランド代表といえども勝手は許さない。監督が毅然(きぜん)とした態度を示したことで、しこりも残さなかった。

 名波監督は現役時代、日本代表でエースナンバーの10番を背負い、磐田では数々のタイトルを獲得。イタリアでのプレーも経験した。さまざまなタイプの監督と出会い、培ってきた理想の監督像がある。一つはチームをピリッとさせる厳しさ。もう一つは、人間味ある温かさだ。「威嚇や、えらそうな物言いは嫌い。選手を叱ると決めている時は、事前に呼び、『みんなの前で怒るぞ』と伝えておいた」と、繊細な心遣いを見せる。調子を落としている選手には積極的に声をかけて、悩みを聞いた。

 厳しさと温かさ。二つの顔の裏にあるのは「みんなを一つの船に乗せたい」という気持ち。勝利のためにチームの一体感は欠かせないという信念だ。

 二〇一三年のJ2降格、一四年の昇格失敗を知る元日本代表DF伊野波雅彦選手(30)は、「名波スタイル」の浸透を実感する。「今年は前の二年と明らかに違う。チームが一つの方向に向かっている。ピッチの中だけでなく外でもそう。だから、少々の負けでは軸がぶれない」

 小学生のころ、遊び仲間から、漫画「ドラえもん」に登場するガキ大将のジャイアンに例えられた名波監督。清水商業高(現清水桜が丘高)、順天堂大時代は面倒見の良い兄貴分として多くの後輩に慕われた。

 どこをくすぐれば、選手はやる気を出し、勝利へと向かうことができるか。そのころから選手との接し方、統率力を自然に身につけていたのかもしれない。

 昨季途中、チームの調子が出ない中で監督に就任。プロでの指導経験はゼロで「大丈夫か」という危惧の声もあった。昇格という結果で心配を吹き飛ばし「監督として、一つのものにつくりあげてきた喜びはある」とチームづくりに自信をのぞかせる。

 「人が入れ替わり、昔の強かったジュビロに戻ることはできない。新しいジュビロの歴史をつくりたい」。舞い戻るJ1の舞台で新たな挑戦が始まる。

(この連載は川住貴が担当します)

 

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