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静岡連載

しずおかの学び2015 新たな挑戦<上>

 二〇一五年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で、静岡県の小学校の平均正答率は全国を上回った。国語Aの成績が全国最下位だった一三年度からV字回復は果たしたが、教育現場では、詰め込みだけでなく、確かな学力を伸ばすための模索が続く。より良い学びとは何か。しずおかの学びの課題を見つめ、新たな挑戦を追った。

◆午前5時間制 午後も有効、理解深め

給食前の5時間目。6年生は学活で意見発表していた=焼津市田尻の和田小学校で

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 正午すぎの焼津市和田小学校。六年の一学級が、給食前の午前五時間目の学級活動で「大人と子ども、どっちが得か」をテーマに意見を交わしていた。授業の目標は「全員発表」。それぞれの発表を聞いて自分の考えを書き、授業は締めくくられた。

 学力向上を掲げ、和田小はこの春、県内の小学校で初めて午前五時間制を導入した。

 午前中に集中して学び、午後早めの下校後は遊びや習い事、家庭学習にたっぷり充ててもらう。教師もまとまった時間を授業準備に使える。「給食が遅くなっておなかがすかないか、集中力が続くか、心配もあったが、児童は徐々に慣れてくれた」と曽根俊治校長(58)は話す。

 二年前の全国学力テストでの「最下位ショック」以降、県教委は授業改善や家庭学習の充実を教育現場に提言。学力テストへの「傾向と対策」ができていなかった反省も踏まえ、テスト問題や結果の活用も促した。テスト対策に目標を定めた「脱・最下位」の取り組みはこの二年、結果を生んできた。

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 成績上位校の校長名のみを公表するショック療法もあった。「六年の児童が『校長先生ごめんなさい』って言ってきて。君たちが悪いんじゃない、と話したけれど」。自分たちのせいと謝る児童の顔を曽根校長は忘れない。「点数を上げるのは必要。でも四月下旬の調査日まで新しい教科書も開かずにテスト対策する授業がいいのだろうか」

 もっと根本から変えられないか。忙しい教師がもう少し余裕を持ち、充実した授業をできるようにしたい。思いついたのが、教務主任だった十数年前に米国で視察した午前五時間制。既に実施している東京都武蔵村山市の小学校を昨年末に教頭が視察し、保護者に説明して導入を決めた。

 休み時間が五分と短くなり慌ただしさはあるが、行事や教師の研修でつぶれる午後の授業が減り、導入の目的の一つである授業時間の確保につながっている。終業が早まった分、六時間目がある日の下校前に十五分間、個別指導や計算、漢字を練習する時間を設けた。目の前のテスト対策だけでなく、より理解を深めてもらうための試みだ。

 「午前は勉強、午後は遊びと子どもたちがメリハリを付けて過ごせるようになったかな」。六年の学年主任寺尾しのぶ教諭(52)は手応えを口にする。教師の帰宅時間も少し早くなった。曽根校長は「子どもにも教師にもプラスになる」と信じている。

(この連載は、神谷円香が担当します)

 <焼津市和田小の午前5時間制> 午前7時50分までに登校し、10分間の読書と朝の会の後、8時15分に1時間目が始まる。授業は45分間。3、4時間目の間は20分だが他の休み時間は5分で、5時間目が終わるのは午後0時35分。給食は制度導入前より25分遅くなった。木曜は掃除をなくし、通常30分の昼休みを45分に延長した。6時間目終了は午後2時50分。水、金曜は全学年で午後の授業がなく、午後2時半に完全下校。

 

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