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名前しんぶん

[鈴木しんぶん]名画 はだしで鑑賞

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◆開館20周年 秋野不矩美術館

第1展示室のとうござに座る吉川利行館長。顔を少し上げれば見られる高さに、秋野不矩さんの絵が飾られている=浜松市天竜区二俣町で

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 はだしで絵を鑑賞できる美術館が、浜松市天竜区にある。市秋野不矩(ふく)美術館は館内で靴を脱いだり、床に座ったりして、柱や壁にふんだんに使われた木や土など自然のぬくもりを感じられる。二十五日の開館二十周年を前に、美術館の建物としての魅力を紹介したい。

 浜松市の中心部から車で約四十分。駐車場で車を降り、ウグイスのさえずりを聞きながら、蛇行した坂道を十分ほど登ると、丘の上に石ぶきの三角屋根が顔を出した。

 美術館の建築面積はサッカーコートほど。鉄筋コンクリート造り一部木造の二階建て延べ約一千平方メートル。美術館としては小ぶりだ。旧磐田郡二俣町(現天竜区二俣町)出身の日本画家、秋野不矩さん(一九〇八〜二〇〇一年)の作品を中心に収蔵、展示している。

 暖色を基調にした岩絵の具で人の営みを描いた秋野さんは生前、自然との調和をテーマにした建築で知られる藤森照信・東京大名誉教授に美術館の設計を依頼した。吉川利行館長(49)は「秋野作品を楽しめるように工夫されている」と話す。

石ぶきの屋根に木と土の外壁が映える浜松市秋野不矩美術館=浜松市天竜区二俣町で

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 屋根に諏訪産の鉄平石をふき、わらの入った外壁の表面には、建設時に敷地を削った土を塗った。内外壁に地元産の天竜杉が使われ、ホールの柱の木は樹齢百二十三年という。

 はだしで入れる展示室は二つ。うす暗いホールで靴を脱ぎ、とうござが敷かれた第一展示室へ。お尻を床に付けて鑑賞できるように、作品は低めに配置している。第二展示室の床は大理石で腰を下ろすと少し冷たいが、天窓から差す光は明るい。

 吉川館長によると、作品を保護するため、展示室にあまり窓は付けない。だが、藤森さんは「美術館は洞窟ではない」と窓の設置にこだわったという。

大理石が敷かれた第2展示室。天窓から太陽光が差し込む=浜松市天竜区二俣町で

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 作品で何度もインドの人と自然を取り上げた秋野さんは、こんな言葉を残した。「インド人がはだしで土を踏む様な心で絵をかこう」。この春、美術館ではだしになって季節を感じてみては。

 美術館では、22日まで所蔵品展「秋野不矩 美の殿堂」を開催中。開館20周年記念の特別展として、28日〜6月3日に「絵本にみる日本画」、8月4日〜9月17日に「藤森照信展」を開く。所蔵品展の観覧料は大人300円、高校生150円、中学生以下と70歳以上は無料で、特別展は別料金。

 藤森照信(ふじもり・てるのぶ)名誉教授の略歴 1946年、長野県茅野市出身。東京大名誉教授(都市環境史学)。91年、同市神長官守矢史料館で建築家デビュー。静岡県内では、ねむの木こども美術館「どんぐり」(掛川市、2007年開館)も手掛けた。

 鈴木凜平(すずき・りんぺい) 花粉症に苦しむ26歳。今年もお花見は見合わせた。室内で楽しめる美術館巡りが、この時期の数少ない癒やし。県立美術館(静岡市駿河区)のロダン館もおすすめ。

 

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