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名前しんぶん

[佐藤しんぶん]浜松市内で最古「巴湯」訪問

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◆まちなか銭湯 人情“熱く”

洗い場の中央に浴槽がある巴湯=浜松市中区大工町で

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 JR浜松駅から歩いて十分ほど、大通りからそれて細い小道に入ると、えんじと紺色が基調の鮮やかなのれんが目に入る。一九四七(昭和二十二)年創業、浜松市内で最も古くから営業している銭湯の「巴湯(ともえゆ)」(同市中区大工町)。昭和レトロな風情にひかれ、のれんをくぐってみた。

 戸を引き、脱衣場を抜けた先の風呂場。深さが二段階になっている浴槽が中央にある。深い方の浴槽は腰掛けてつかる。四、五人も入ればいっぱいだろうか。

 開店直後に入ると、かなり、熱い。常連さんは水で埋めながら好みの温度に調節しているようだ。

 浴槽をぐるりと囲む洗い場には、それぞれ湯と水が出る蛇口が二つずつ。シンプルなことこの上なく、なんとも味わい深い。

 常連さんはシャンプーやボディーソープを自分のかごに入れて脱衣場に置いているが、小分けのものを購入することもできる。

多くの人の社交場となっている巴湯=浜松市中区大工町で

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◆常連と弾む会話「これからも ずーっと」

 番台には、市川佳代子さん(67)が座る。七七年から四十年以上、お客さんの様子を見守り続けている。「もうからない商売だけど、のんびりやってるんですよ」とほほ笑んだ。

 午後四時から九時まで。途中、晩ご飯の支度をする午後七時ごろからは夫の敏さん(70)が座る。

 もともと巴湯は敏さんの生家。敏さんと佳代子さんは二代目になる。敏さんは今でも会社勤めをしており、銭湯は「ビジネスじゃない」と話す。

着物姿で番台に座る市川佳代子さん

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 ではどうして、掃除など大変な準備をこなして、銭湯を続けているのだろうか。

 佳代子さんは「店がなくなったら、私がさみしいから」と語る。「いろんな人とお話しするのが、毎日楽しくて」

 昔ながらの青果店や鮮魚店も最近は少なくなり、独り暮らしの高齢者などは話し相手もいない。「みんな家にお風呂があっても銭湯に来てくれるんですよ」とうれしそうだ。

 常連の男性(50)は巴湯に通い始めて十七年。週末などに同市西区舞阪町から車で訪れる。「家からは遠いけれど、ついつい慣れたところに来てしまうね」と話してくれた。

 「これからもずーっと続けていきたい」と市川夫妻は口をそろえる。「でないと、お客さんもさびしいでしょ」

 再びのれんをくぐり、外に出ると、心地よい風が吹いていた。夫婦仲の良い二人との会話も楽しみ、心までぽかぽか。家路をたどる時間が、とっても幸せだった。

 <巴湯(ともえゆ)> 1947(昭和22)年創業。浜松市中区大工町50。小川に架かる恋沢橋のたもとにある。営業は午後4時から午後9時まで。月、木、日曜定休。(問)巴湯=053(452)7571

 佐藤浩太郎(さとう・こうたろう) 東京都出身、27歳。銭湯好き。前任地の愛知県岡崎市でもよく銭湯に通い、取材もした。巴湯は街中から歩いて10分ほど。これからの季節、お酒を飲みに行く前などふらっと立ち寄って、汗を流してみてはいかがでしょうか。

 

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