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[沢田しんぶん]リニア工事予定地を歩く

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◆トンネルを県道へ 新設は難航

多くの工事車両が通行する県道は、狭く急な坂道が続く箇所が多い=昨年12月、静岡市葵区で

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 二〇二七年に名古屋−東京・品川間で開業を目指すリニア中央新幹線。静岡県は東海道新幹線の駅が六カ所もあるのに、リニア沿線七都県で一番、関心が薄いように感じる。県内が関係するルートは、南アルプスを通過する十キロ弱で大半がトンネル。中間駅ができないのが原因の一つだろう。顕在化している大井川の流量減少など、十年近くにおよぶ工事が県内に与える影響は少なくない。工事予定地に近く、最も影響を受ける可能性がある静岡市葵区の井川地区を訪ねた。

 人口が五百人を切った地区中心部までには、県庁から車で二時間弱。井川への主要道路である県道三ツ峰落合線は狭く急な坂道が続く難路だった。途中で数台のダンプとすれ違ったが困難な場所も多く、手に汗握る運転を強いられた。

 JR東海によると、工事期間中は一日最大二百十六台の工事車両の通過が見込まれる。井川森林組合の森竹史郎組合長(67)は「工事車両がどれだけ通ってくれても構わない。でも道は狭いし、安全対策はしてくださいよと注文している」と話す。地区は二〇一四年十二月、JR東海に井川ダム手前から四キロほどのトンネルを県道に新設することなどを求める要望書を提出している。

 県道のトンネル新設は地区の悲願と言える。トンネル区間は現在、県道の十三キロの区間に相当する。狭くて急な坂道が続き、冬場は凍結や積雪に住民は難儀してきた。一九五三(昭和二十八)年の井川ダム建設、六九年に旧静岡市と合併する際もトンネル新設を中部電力や市に要望してきた。

◆葵区井川地区、JR東海と溝

井川地区の住民が要望するトンネル新設予定地(井川ダム寄り)の大沢戸橋付近=昨年12月、静岡市葵区で

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 JR東海が昨年末、井川地区で開いた住民説明会で、JR側は道路改修や安全対策について、川根本町に至る静岡市道でのトンネル新設を提案し、地区がトンネル新設を求める県道は、道路の一部拡幅にとどめる考えを示した。

 井川自治会連合会の栗下浩信会長(57)は「井川の住民は工事に大きな反対もせず、信頼して紳士的に付き合ってきた。JRの説明ではトンネルの件を含めて地区の要望を何一つ聞き入れてもらえていない。これでは住民は協力できない」と語気を強める。

 工事の「見返り」として、トンネル新設など道路整備を求めるのは静岡だけではない。山梨県早川町では連絡道路を新設し、長野県大鹿村ではトンネル二本を新たに掘る。いずれも地元住民が要望したもので山梨、長野両県とJRが応分の負担をする。

 井川地区は工事で排出される残土置き場や、大井川上流部の流量減少などへの対策も求めるが、少なくない住民はトンネル新設を巡り、態度を硬化している。工事の早期着工には地元・井川の理解が不可欠で、JR東海は再度の協議に応じる姿勢を見せている。

 沢田佳孝(さわだ・よしたか) 旧清水市出身。県政担当。昨年夏の転勤で20年ぶりに静岡で生活する。趣味は料理と片付け作業。前任地の長野支局では、リニア中央新幹線の工事最前線である長野県大鹿村でたびたび取材。一昨年11月にあった南アルプストンネル長野工区の起工式の現場も踏ませてもらった。

 

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