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[沢井しんぶん]オクシズ 恵みの地

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◆シイタケの原木栽培 体験

シイタケの生育状況を確認する志村吉紀さん=静岡市葵区梅ケ島で

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 最近よく耳にする言葉「オクシズ」。静岡市の山間部・奥静岡の愛称だが、その地域で採れた山の幸はブランドにもなっている。シイタケの原木栽培に取り組む農家を訪ね、オクシズの恵みを体感してきた。

 緑豊かな景色を楽しみながら自動車を走らせ、県道から脇道へと入る。木々が茂る細道を上り、集落を抜けると、標高七〇〇メートルの山の頂上へと到着する。車を降りると茶畑の中にいくつものビニールハウスが並んでいた。目的地の「梅ヶ島志村農園」(葵区梅ケ島)だ。ハウスを訪ねると三代目の志村吉紀さん(34)がシイタケの栽培方法を説明してくれた。

 長さ九十センチ、直径十センチほどの原木の表面に穴を開けて菌を打ち込み、一年かけて定着。冷たい水に漬けて菌を刺激し、温かく遮光されたハウス内に置くとシイタケが生えてくる。

 原木の重さは軽くても七〜八キロで、十キロを超えることもある。原木を何本か持たせてもらったが、ズシリと重い。農園のハウスでは約二千本がずらりと並べられている。「体力勝負ですよ」と志村さん。シイタケの出来は原木の状態や気候の変動に影響され、安定した出荷は難しい。管理はおがくずと米ぬかを交ぜたブロックで栽培する菌床の方が簡単だといい、原木栽培は主流ではないという。

シイタケが育つ木を持って重さを確かめてみた=静岡市葵区梅ケ島で

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 原木を水に漬ける作業は一年間で五回にも及ぶ。出荷ができるシイタケは一本の原木から六十〜百個程度。手間が掛かるものの、原木栽培にこだわる一番の理由は味だ。志村さんは「うちのシイタケは、食べたとき口の中に広がる香り、コリコリとした食感が特徴」と胸を張る。

◆きれいな水 → 肉厚で香り◎

 取れたてのシイタケを焼いて食べてみた。肉厚でしっかりとした歯応え。口の中でうま味が広がり、香ばしい香りが何とも言えない。

 志村さんによると、梅ケ島のシイタケ栽培には約百年の歴史がある。昔はスギやヒノキを植林するため、山から切り出した雑木の表面になたで傷を付けて飛んできた菌を定着させていたのが始まり。その後、露地栽培に移行したがサルの食害に遭い、ハウスでの原木栽培をするようになった。

 二十五歳のときに、実家へ戻ってきたという志村さん。「自分は故郷が好きで帰ってきた。オクシズにはきれいな空気と水がある。シイタケやお茶、ワサビがこの豊かな自然の恵み中で育つ。多くの人に来て体感してもらいたい」と話していた。

【メモ】 梅ヶ島志村農園では31日まで、栽培方法解説付きのシイタケ収穫、試食の体験ができる。1グループ2人以上で1人2160円。前日までに申し込む。火曜日定休。問い合わせは、同農園=電090(7434)0230=へ。

 沢井秀之(さわい・ひでゆき) 金沢市と、愛知県の知多半島での勤務を経て、静岡総局に赴任。海沿いの勤務が多く魚には目がないが、静岡に来て、山の幸にも関心を持つようになった。

 

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