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名前しんぶん

[土屋しんぶん]日常離れ自ら律す

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心を整え、夜座に取り組む参加者=袋井市久能の可睡斎で

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◆袋井「三日坊さんの旅」

 寺での修行体験を通じて自らの生き方を見つめ直す「三日坊さんの旅」が静かなブームを呼んでいる。袋井市にある法多山、可睡斎、油山寺の遠州三山など古刹(こさつ)、名刹(めいさつ)を巡る体験型のツアーで、市観光協会の一押し企画だ。市も地域の観光資源として、昨年度からふるさと納税の返礼品に加えるなど情報発信に余念がない。多くの人が慌ただしい日常を離れ、自らを律する修行体験に臨むのはなぜか。その一端に触れ、魅力を探った。

 六月二十五、二十六両日に開催された連合静岡の若手リーダーを対象とした一泊二日の研修を取材した。参加したのは二十〜四十代の男性ばかり二十人。一行は紺や紫色の作務衣(さむえ)に着替えると、火防信仰で知られる可睡斎(久能)で修行をスタートさせた。

 初日は僧侶の法話に耳を傾けて仏の教えを学んだり、本堂のほのかな明かりの中で「夜座(やざ)」と呼ばれる座禅に取り組んだりした。翌朝は午前五時に起床。境内の掃除などに励んだ後、目の霊山・油山寺(村松)に移動して写経や境内にある「るりの滝」で滝行を行った。

集中して写経に励む参加者=袋井市村松の油山寺で

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 最後に訪れたのは厄除(やくよけ)観音・法多山(豊沢)。住職からおいしいお茶の入れ方を学んだ後、名物の厄除だんごとともに袋井茶を味わい、厳しい修行の合間の心和むひとときを過ごした。

 そして、修行を通じて感じたことを漢字一文字で表現する「心の書」に取り組んだ。一人一人が心に浮かんだ「安」「志」「極」などの文字を毛筆でしたため、その思いをみんなの前で披露した。「心の安息を得られたので」「これからも志高く生きていきたい」「一つでも極みにたどり着けたら」…。

 二日間にわたる修行を終えた達成感からか、どの参加者も晴れやかで自信に満ちた表情が印象的だった。

◆滝行 遠い無我の境地

油山寺で滝行に挑む

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 自分も観光協会や寺のはからいで、滝行に挑戦した。白衣に鉢巻き姿で参加者とともに入水。全員で祠(ほこら)にまつられている不動明王の真言を唱える中、順番に滝に打たれた。約七メートルの高さから落ちる滝の水を首と背で受け止めたが、思ったより水が冷たく、想像以上に圧力があった。無我の境地に浸る余裕もなく、住職の終わりの合図にホッと一息ついた。

◆座禅、写経、作務 宿坊体験随時受け付け

 「三日坊さんの旅」は、宿坊体験(1泊2日)として可睡斎=電0538(42)2121=で随時受け付けている。座禅、写経、作務などの体験に精進料理の夕・朝食が付く。首都圏の女性グループなどからの申し込みが多いという。

 遠州三山巡りは、市観光協会=電0538(43)1006=が企業研修向けのみを募集している。観光協会の永岩夕依さんは「日本の伝統的なお寺の文化を、一度は体験してもらえたらと思います。エコパスタジアムが会場の一つとなるラグビー・ワールドカップ2019を控え、外国人向けの観光ツールとしても一層発信していきたい」と話していた。

 土屋祐二(つちや・ゆうじ) 袋井通信部に赴任して6カ月余。還暦を目前にしても枯れることなく、煩悩が尽きない日々を送る。今回、非日常の僧侶の生活を垣間見たことで、何かしら生きる上でのヒントが得られたように感じている。

 

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