トップ > 静岡 > 地域特集 > しずおか生活帳 > 記事一覧 > 2018年の記事一覧 > 記事

ここから本文

しずおか生活帳

横断バッグいろいろ進化 県民に親しまれ55年

◆派生商品60種 色は20種

さまざまな色がある横断バッグ。派生商品も含めると現在は20色に増えた

写真

 県内の小学生の多くが通学に使っている手提げの「横断バッグ」。黄色が定番だが、最近は青色など見慣れない色のバッグを見かけるようになった。誕生から五十五年。横断バッグもランドセルのように、色や種類が増えているようだ。

 黄色いナイロン製の生地に「横断中」の文字と横断歩道の標識。横断バッグは、学用品を扱う静岡市駿河区の「宮原商店」の登録商標だ。各地区の明るい社会づくり運動協議会などが、学区内の小学生に善意で贈っている。全国的にはあまり知られていないが、県内では伊豆を除くほとんどの地域で定番だ。

 誕生は高度経済成長期の一九六三(昭和三十八)年。十八年前に七十六歳で亡くなった創業者の宮原敏夫さんが考案した。娘で現社長の杉山妙子さん(67)は「自動車が増えて交通対策が追い付いていない時代だった。横断旗は数が少なく『みんなが横断旗を持って横断歩道を渡るために、バッグにしてしまおう』と考えた」と振り返る。

杉山司さんが紹介する横断バッグ。写真の商品は浮力材が付いていて豪雨などの災害時にも活用できる=静岡市駿河区で

写真

 その後、教師や保護者らの評判を呼び、県内の文具店や書店で販売されるように。現在は宮原さんの遺志を継ぎ、杉山さんと次女の司さん(29)が中心となって店を経営し、外注で生産している。

 種類が増えたのは十五年ほど前。「子どもの頃に横断バッグを使った大人にも興味を持ってもらおう」と、横断バッグのデザインをあしらった携帯電話のケースを販売した。その後、ランチバッグやティッシュケースなど派生商品は六十種類、色も二十色になり、人気は子どもから大人まで広がっている。

 今年の県内の小学新一年生は約三万人。横断バッグの年間生産は約二万五千枚で、中には県外からの注文もあるが、県内の大半の小学生が持っている計算になる。杉山さんは「単なるアイデア商品が、皆さんに必要と思ってもらえるまでになったのがうれしい。大事にしていきたい」と話している。

◆交通事故の死傷者数 小学1年生は6年生の4倍

 横断バッグが誕生した1960年代は、「第1次交通戦争」と呼ばれた時代。交通事故の犠牲になる小学生が県内で年間20人を超え、児童への交通安全教育が始まった。安全への意識が浸透し事故は大幅に減ったが、今なお小さい子どもが被害に遭う事故は多い。警察は「新1年生は道路の安全に気を付けてほしい」と注意を呼びかける。

 県警交通企画課によると、2008〜17年の10年間に県内で歩行中に交通事故に巻き込まれ死傷した小学生は3405人。そのうち1年生は950人で、6年生の233人と比べると4倍を超えた。1年生の被害を月別でみると、5月が100人で最多。目的別では、下校中が245人で4分の1を占め最多だった。

 同課の担当者は「登校時には見守りがあるが、下校時は1人になることもある。新1年生は交通環境に不慣れで、飛び出すなどして事故に遭ってしまう」と指摘。「親が一緒に、子どもの目線の低さで通学路を点検し、危ない場所を子どもに教えてあげてほしい」と話した。

(荒木正親)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

中日新聞しずおかの記事はこちら

新聞購読のご案内

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索