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しずおか生活帳

「苔愛」成長中 富士宮で生産、ネット販売

◆人気品種は5分で完売

生育中のスナゴケを眺める北條雅康さん=富士宮市内で

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 園芸・盆栽ブームで海外からも注目を浴びる「苔(こけ)」を取り扱う会社が富士宮市にある。生産と販売を手掛け、国内トップクラスの取扱量を誇る「モスファーム」。ネット販売のみにもかかわらず、口コミなどで評判が広がり、人気のある品種はわずか五分で売り切れるほど。同社で開発営業を担当する北條雅康さん(29)は「『日陰もの』という苔の印象を変え、マイナスイメージを払拭(ふっしょく)したい」と意欲を燃やす。

 モスファームは一九八一年、建設業を手掛けていた雅康さんの父の雅教社長(67)と母の桂子さん(現専務)が設立。緑化資材としての苔の入手先を尋ねられることが多く、もともと苔に興味があったことから、生育に適した土壌のある富士宮市に土地を購入し静岡市から拠点を移した。

 造園資材としての需要が伸びる中、社長が熊に襲われ重傷を負うなどの苦難もあり、注文をさばくために徐々に販売の軸足をネットに移す。ネットショップに本格的に力を入れた十年ほど前から売り上げが飛躍的に伸びた。著名な寺社や屋上緑化などに取り組む企業などからも引き合いがあるが、メインは個人客。品質への信頼も得て、リピーターが多い。

容器の中の世界を楽しむテラリウムキット。溶岩石がセットになっている

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 「京都の庭園などで見て苔を好きになった方が『庭を造ってみたいが、どこで売っているのだろう?』と検索してくださるようです」と雅康さんは話す。もともと家業には興味がなく、大学や大学院で土木や農業を学び、化粧品会社で開発などを担当していた。苔の可能性に魅力を感じ、一から学ぼうと昨年三月に退職し帰郷した。

 同社で取り扱う苔は三十種ほど。庭園にしっとりとした風情を添える苔は「暗くてジメジメしたところで育つ」と思われがちだが、日なたや風通しのよい場所を好む品種も多い。庭園用として最も人気のある「スギゴケ」もその一つで、モスファームで一番人気なのはその改良オリジナル版「ミヤビゴケ」。スギゴケは二〜三年で茶色くなり、張り替えが必要になるがミヤビゴケは手入れさえしっかりすれば、半永久的に緑を保つという。サイトで販売解禁日を予告すると申し込みが殺到し、五分で売り切れるという主力商品だ。

 苔は成長に四〜五年かかり、品質管理にも気を使う。まだまだ分からないことばかり、と雅康さんは言う。それでも、やりたいことは目の前に山積みだ。「国歌に唯一登場する植物が苔なんです。欧米は花をめでますが、苔をかわいがり、緑の魅力を見いだすのは日本の特徴。海外の方にも苔を知ってほしい」と販路拡大も視野に入れる。

◆ずぼらさん向いてます

「苔日和シリーズ」のホソバオキナゴケ。葉先が少し白くなったら水やりのサイン

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 モスファームでは、庭のない人でも室内で苔を育てられるキットを五百円程度から販売。かわいらしい鉢に入ったものや、丸めた姿が愛らしい「苔玉」、人形と小さなジオラマのように楽しむシリーズなど多彩だ。

 初心者にも取っ付きやすそうな「苔日和シリーズ」は丸い陶器の器にホソバオキナゴケを植えたもの。室内の場合は、エアコンの風が直接当たらない場所に置き、葉先が白っぽくなったら霧吹きで水をかければよい。普通に水をかけると、水が玉になってはじいてしまい、染み込まないこともある。北條桂子専務は「かわいがって水をやり過ぎてもダメ、忘れてもダメ。ずぼらな方が向いているぐらいですよ」とアドバイスしてくれた。

(前田朋子)

 

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