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くらしの知恵袋

高齢者の運転免許証返納 微増 支援不十分で踏み込めず

免許証返納者に県公安委員会が交付する運転経歴証明書の見本

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 高齢運転者による交通事故が相次ぐ中、県内でも運転免許の返納が増えている。だが、公共交通の便が悪い地域を中心に、ためらう人は依然多い。県内の市町や企業は返納を後押しする対策を講じるが、まだ十分とは言い難い。県警や自治体に対策の現状を取材し、高齢者が最低限の運転を続ける場合の心得を専門家に聞いた。

 県警によると、二〇一七年に県内で免許証を自主返納した六十五歳以上の高齢者は一万五千五百十六人と前年の一・二倍に増えた。高齢運転者の県内事故が一七年に六千百三十一件と前年の一・三倍に増え、返納への意識も以前より高まっていると言えそうだ。県警交通企画課の担当者は「事故を起こす前に返納してほしい」と呼び掛ける。

 ただ、県内の六十五歳以上の免許保有者は六十三万一千二百二十八人(一七年)。返納に踏み切る人はまだ一部だ。県警は免許を返納し、希望した高齢者にカード型の「運転経歴証明書」を交付。自治体や企業と協力し、証明書を提示するなどすれば、外出の手助けをする自治体のサービスを受けられたり、一部の店舗では買い物で割引を受けられたりできるようにしている。

運転免許証の返納を受け付ける静岡中央署の窓口=静岡市葵区で

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 例えば、市町がバス会社に委託して運行する自主運行バスや、デマンド型タクシー(予約して指定場所で乗り降りする乗り合いタクシー)の運賃に対して助成を受けられたり、いくつかのバス会社やタクシー会社で運賃を割安にしてもらえたりする。

 磐田市は証明書を提示した高齢者に、市内を走るデマンド型タクシーの運賃を半額にしている。掛川市のように、バスやタクシーで使える五千〜一万円分の助成券を返納者に一回限り交付する自治体もある。

 しかし、静岡市、浜松市など人口の多い市では返納者に対する支援がほとんどない。静岡市は一部の山間部などで自主運行バスを走らせているが、日常生活の足にするには本数は多くない。浜松市は数年前から高齢者へのタクシー、バス代金の援助を廃止した。

◆ワンポイントアドバイス 衰え認識慎重に

 NPO法人高齢者安全運転支援研究会(東京都)の平塚雅之事務局長は「運転を続けるにしても、免許証を返納するにしても、高齢運転者本人の自覚と家族の理解、手助けが何よりも大切だ」と話す。

 研究会では、高齢者が自分の能力の衰えを知ることができるように「運転時認知障害早期発見チェックリスト30」を作成。定期的に自己診断し、高齢者自身が空間認識力や判断力の低下を理解するよう勧めている。自身の能力の衰えを自覚することで、速度を落としたり、標識を注意深く見たりする「補償運転」をすることで、長く免許証を持つことにつながるという。

 一方、平塚事務局長は「人口が減少する日本で路線バスなどを新たに走らせるのは難しいだろう。住民が交代で高齢者を買い物に連れて行くなど、地域で支える必要がある」とみる。車の運転ができなくなると行動範囲は十分の一以下になるとされ、「認知症予防の点からも、高齢者を引きこもらせないようにすべきだ」とも指摘した。

(瀬田貴嗣)

 

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