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イチ推し

「深海おじさん」の漁に同行 眠気吹っ飛ぶ“海ゴジラ”

◆ヨロイザメ 焼津の新名物に期待

輝く大きな目が特徴のヨロイザメを持つ長谷川久志さん=駿河湾で

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 漁師町の焼津市に、一風変わった漁師がいる。「焼津の深海おじさん」として全国に知られる長谷川久志さん(69)。この道四十年の深海専門漁師で、主に深海ザメを狙っている。昨春に取材した縁もあり、七月中旬、駿河湾での深海漁に同行させてもらった。

 小川(こがわ)港を出港したのは、空が白み始めた午前四時ごろ。漁船で四十分間ほど沖に向かうと、水深四五〇メートル前後の漁場に到着した。小さな釣り針が四百五十個近く付いた漁具「はえ縄」を投げ入れ、待つこと一時間半ほど。長谷川さんは長男の一孝さん(43)と協力してはえ縄を引き上げながら、釣り針を一個ずつ確認していった。

 中盤までは餌が付いたままの釣り針がほとんど。船の揺れで立っているのが困難だったため、クーラーボックスに腰掛け、釣り針から餌を外す単調な作業を見守り続けた。炎天下にさらされる疲れに睡眠不足も相まって、午前九時ごろには睡魔との格闘が始まっていた。

その見た目から「ゴジラ」とも呼ばれるヨロイザメ=駿河湾で

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 「ゴジラが来たぞ!」。うとうとしていると、長谷川さんの威勢の良い声が響いた。釣り針に掛かったのは、その見た目から「ゴジラ」と呼ばれる体長一メートルほどのヨロイザメ。眠気が一気に吹き飛び、夢中でシャッターを切った。

 まず目に付いたのが、顔の両側に付いた大きな目。日光が当たると、エメラルドグリーンのまばゆい輝きを放った。鼻がぷくっと膨らみ、愛嬌(あいきょう)のある顔立ちだったが、口の中を見て驚いた。サメらしく、鋭くとがった歯が無数に並んでいた。

 数分後には二匹目のヨロイザメが掛かった。長谷川さんが背中の傷を指さして、「交尾する時にオスがメスの背中をかむんだよ」。長谷川さんからは「へぇ〜」とうなるような豆知識が随所に飛び出した。

 午前十一時ごろに漁を終え、港に戻るさなか、長谷川さんが船上でヨロイザメをさばき始めた。身の部分を飲食店に卸すためだ。顔を切り落とされた後でも動き続けている小さな心臓には、驚きを通り越して、ただただ笑うしかなかった。マグロの解体を何度か見たことがあるが、全く異質のものだった。

 近年、健康食品会社に高値で売れる本命のアイザメがほとんど釣れなくなった。本業が苦しい中、新たな収入源として、深海漁を見学する体験乗船を最近始めた。コアなファンはもちろん、深海に知識がない人でも十分に楽しめるはずだ。焼津の新たな名物になるのではと期待している。(問)長谷川さん=054(624)6605

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佐野周平記者(牧之原通信部)

 小中学生のころ、「ゲゲゲの鬼太郎」や「悪魔くん」など、妖怪が登場するテレビアニメが大好きだった。深海魚といえば、見た目がグロテスクな異形の魚というイメージ。妖怪と通ずるものを感じ、興味を持っていた。

 

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