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イチ推し

茶の手もみ体験 手使い集中、深い香り

◆ひと味違う満足感

緊張の面持ちで茶を手でもむ記者=島田市の「茶の都ミュージアム」で

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 市販されている煎茶のほとんどは製茶機で作られているが、その機械の動きは江戸時代から続く手もみ製茶法をまねている。茶葉の持つ味と香りを最大限引き出す手もみの技。島田市にある茶の総合施設「茶の都ミュージアム」で始まった体験会に参加し、製茶の奥深さを味わった。

 体験会の先生は、県茶手もみ保存会(五百七十人)の各支部員が務めていて、蒸した茶葉を少しずつ乾燥させながら仕上げる工程の一部を学ぶことができる。七月初めに参加した体験会では、菊川支部の赤堀実さん(55)、進士誠さん(62)、長谷川弘政さん(43)の三人が指導してくれた。

 会場には「ホイロ」と呼ばれる製茶台が置かれ、その上に約三キロの蒸した茶葉が並べられていた。入念に手を洗った後、まずは「葉ぶるい」の作業だ。湿った葉を手ですくい、胸の高さまで舞い上げるようにして風に当てる。冷房が効いた室内だが、緊張して額に汗が噴き出した。肩に力が入っていたらしく、進士さんから「力を抜いていいよ」と声を掛けられた。

県茶手もみ保存会の会員から指導を受け、手もみを体験する参加者ら=島田市の「茶の都ミュージアム」で

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 葉ぶるいに続く「回転もみ」はホイロの全面を使い、両手を左右に動かして、葉を均一にもむ作業。中腰姿勢で行うため腰が痛くなった。赤堀さんは「腰への負担が少ない格好を自分で覚えていった」と話してくれた。

 手もみした葉の特徴は針のような形だ。細長くもみ上げるためには、ホイロの上で葉の向きを合わせて集めなくてはいけないのだが、それがなかなかうまくいかない。

 葉をつかんで握り、再び手を開いて押す。「グー、パン。グー、パン…」と声を出してリズムをつかむ方法を教わった。ただ、右手を奥から手前へ滑らせて葉を寄せ、左手で受けて集めていく動きは、なかなか慣れずに何度もやり直しをさせられた。

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 仕上げていく手順も細かく定められており、長谷川さんは風呂に入りながら、手順のイメージトレーニングを繰り返したそうだ。

 同じ体験会にカップルで参加していた浜松市西区の女性(31)は「お茶の香りを楽しめた」と満足そうだった。四十代の女性は「手使いが難しいので集中し、ほかのことを忘れられるのが良かった」と振り返った。

 体験会は一回二十分間で組まれているが、八回連続で申し込んだため、この日の挑戦は開始から延べ約五時間に及んだ。それでも集中していたためか、あっという間の感覚だった。

 仕上げた茶を少し分けてもらい、自宅で水で煎じ出してみた。そして、すっきり、まろやかなうま味を堪能した。葉っぱの形に戻った茶を眺めていると自分のお茶という思いが募り、普段とはひと味違う満足感に浸ることができた。

 ミュージアムの入館料は一般三百円。体験会(三百円)は第二、第四日曜の午前十時〜午後二時半に八回開かれている。

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松本利幸記者(静岡総局)

 本紙夕刊、県内版の「茶況」欄を担当する。茶葉は取引の現場でよく見るが、触れたことはあまりなかった。体験会では自分の姿を撮影してもらうため、カメラを先生の進士さんに託したが、カメラを向けられると緊張し、取材を受ける側の戸惑いも体感。

 

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