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イチ推し

浜松の老舗古書店 お目当て探しお手伝い

◆巡る古本、出合い魅力

「本と人との出合いを大切にしたい」と話す大石高仁社長=浜松市中区池町の典昭堂で

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 古書店を見つけると、古本の不思議な魅力に誘われて、つい入ってしまう。読み継がれた紙の手触りがたまらないのだ。そこで、ふと疑問が浮かぶ。どうやって本を仕入れているんだろうか。浜松市中区池町にある一九三四年創業の老舗古書店「典昭堂」を訪ねると、大石高仁社長(45)から、古本を巡る人情あふれる話が聞けた。

 「手元に置けなくなってしまったが、どうしても誰かに読んでほしい。処分するのはもったいない」。客の多くが、そう言って泣く泣く愛読書を手放す。

 売る理由はさまざま。書斎に全集を並べることがある種のステータスだった昔とは、今は違う。引っ越しで置くスペースがなくなったり、「東京で売れなかったから」と県外から売りに来たりする人も。行く先のない本の「駆け込み寺」になっているようだ。

 本の仕入れは、昔から、こうした個人からの買い取りが主流だという。業界内では、他県への出張買い取りや段ボール箱に本を詰めて送ってもらい、査定して買い取る方法もある。

 古書店主らが集まる古本市場の交換会では、「交換」という字の通り、業者同士が仕入れた本を持ち寄って売買する。県内では毎月第2水曜に、浜松市総合産業展示館(同市東区流通元町)で開かれる。

 典昭堂には、人文系を中心に、約2万冊が店内に並ぶ。ホームページを設け、インターネット販売もしているが、来店での販売を大事にしている。「本来探していなかった本との出合いや発見などの良さがあるんです」と大石さん。

 祖父や父が売った本が、数十年して、3代目の大石さんの手元に返ってくることが何度かあった。そういう時は、「よく里帰りしてきたね」とうれしくなる。「また別の主人が見つかるといいな」。一層、愛着は深まる。

 客と本とのうれしい出合いを間近で見られるのが、やりがいにつながる。各地の古書店を巡り、10年かけて探し求めた目当ての本を典昭堂で見つけた客もいた。これまでの苦労話を聞きながら、一緒になって喜んだ。

 若者の活字離れや電子書籍の普及で客足は遠のいたが、「まだまだ、お客さんからは、本や言葉への愛情、こだわりが伝わってきます」。

 <県内の古書店> 県古書籍商組合連合会には、現在、42事業者が加盟している。そのうちの2割程度がインターネット専門の無店舗経営となっている。

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篠塚辰徳記者(報道部)

 熱烈な巨人ファンの親に名付けられた30歳。暑さで有名な埼玉県熊谷市出身。3月に浜松市に赴任した。引っ越しに際し、妻に言い負かされ、三つある本棚のうち一つを自分で解体したのを今も悔やんでいる。

 

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