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イチ推し

映画の世界に誘う ミニシアターに恋して

 映画館が好きだ。とりわけ小さな映画館が。近年、複数のスクリーンがあるシネマコンプレックス(複合映画館)が目立つが、独自のラインアップを組むミニシアターの存在に心をひかれている。アカデミー賞受賞作や社会派ドキュメンタリーから、地元学生の習作まで上映作品の幅は広い。県内にある静岡、浜松両市の二館を紹介する。

◆年200本 上映作を厳選

静岡シネ・ギャラリー(静岡市葵区御幸町)

静岡シネ・ギャラリー副支配人の川口澄生さん。番組編成を担当している=静岡市葵区で

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 JR静岡駅から歩いて五分。静岡市葵区御幸町の静岡シネ・ギャラリーは二〇〇三年十二月にオープンした。茶色のれんが造りの外観が特徴的な県内初のミニシアターだ。普段はそれぞれ約五十席の二つのスクリーンを使っているが、作品によっては二百席の大型ホールで上映することもある。

 「お客さんとの距離の近さが特徴。『あの作品は上映しないの』って直接聞かれることも多くて」と語るのは、副支配人を務める川口澄生さん(38)。若いころから映画が好きで、多摩美術大在学中に開館を知り、履歴書を持って入社を直談判した。チケットのもぎりや映写技師の仕事を経て、アルバイトから社員に昇格した。

 現在は番組編成を担当。年間二百本弱のラインアップを整える。近年、撮影や編集のデジタル化が進み、少ない予算でも映画を作れるようになったため、劇場公開される作品の数は激増。「その分、公開する劇場が見当たらない作品も増え、ミニシアターは作品の駆け込み寺という側面もある」と説明する川口さん。「その中で、これは見たい、これを見たいという人がいるはずだ、という思いを大事にして作品を選んでいる」と語る。

◆世界中の作品を紹介

シネマイーラ(浜松市中区田町) 

シネマイーラの支配人の榎本雅之さん。今年で開業10周年を迎える=浜松市中区で

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 〇八年十二月、浜松市中区田町に開館したのはシネマイーラ。浜松東映劇場の撤退に伴い開業し、当時の支配人の榎本雅之さん(64)が社長に掛け合い、「退職して劇場を引き継ぎたい」と伝えた。

 スクリーンは一枚、百五十二席。「一つでも多く浜松に映画を紹介する」のが榎本さんの願いだ。浜松東映時代から自主上映サークルの窓口になり、首都圏などで注目された作品を紹介してきた。ミニシアターの面白さを「世界中の映画を紹介できること。僕は三十カ国以上の作品を上映している」と話す。

 こちらも来場者との距離は近い。常連客の発案で、映画ファンが気軽に集まる「シネマトーク」を実施。年四回、劇場近くの飲食店で交流会を開いている。

 ともに根強いファンを抱えるが、共通の悩みは来場者の高齢化。いずれも十〜三十代の客層が薄く、若者向けの映画を上映しても反応はいまひとつという。

 榎本さんは「若い人はシネコンに慣れっこだから。でも、若者のいない映画館はさみしい」。流れを変えようと、市内の静岡文化芸術大の学生を五百円で鑑賞できるようにしている。

 川口さんも「初めて映画館に来た人が映画好きになるきっかけをつくりたい」。若者の来場を心待ちにしている。

 上映日程などは両劇場のホームページを参照。(問)静岡シネ・ギャラリー=054(250)0283、(問)シネマイーラ=053(489)5539

 <ミニシアター> 配給会社と独自に契約を結び、作品を上映する映画館。確かな定義はないが、座席数が300以下の小規模劇場を指すことが多い。近年、首都圏などで観客減による閉鎖が相次いでいる。

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西田直晃記者(静岡総局)

 山口県下関市出身の記者8年目。30歳。東京にいた大学時代はミニシアターによく行った。映画館の静けさが好き。作品が面白ければ夢中になり、つまらなければ眠りの世界へ。いずれにしてもリラックスできる最高の空間だった。

 

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