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イチ推し

伊豆東部火山群の大室山 噴火の猛威、絶景生む  

◆伊豆高原や城ケ崎海岸を形成

約4000年前の噴火でできた大室山=伊東市提供

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 学術的に重要な地形や地質を備えた国連教育科学文化機関(ユネスコ)認定の「世界ジオパーク」となった伊豆半島の見どころの一つで、伊豆東部火山群に含まれる伊東市の大室山(五八〇メートル)。四千年ほど前の噴火で誕生し、伊豆高原や城ケ崎海岸などをつくり出した。その歴史と景観に触れたくて現地を訪ねた。

 四月下旬、緑に染まった斜面に白や赤色のツツジが風に揺れていた。あいにくの曇り空となり、少し肌寒い。リフトで六分ほど揺られ、尾根に着くと、すり鉢状の噴火口跡が見えてきた。

 「噴火口の直径は三百メートルくらい。独特の形がいいでしょ」。リフトを運営する地元の池観光開発常務取締役の青木英明さん(55)が軽快に語ってくれた。

大室山の噴火がもたらした景色について話す太田地行さん=同市の城ケ崎海岸で

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 大室山は、スコリアというマグマのしぶきが冷えて降り積もってできた。おわんを伏せたような姿が特徴だ。尾根筋を歩くと、ふもとに伊豆高原が広がり、海岸線も望める。当時の溶岩などの総噴出量は約五億一千万トンだ。四キロほど離れた海まで及んだ噴火のすさまじさに思いを巡らし、はっと息をのんだ。

 約十万年前の噴火の火口に水がたまった一碧湖、約一万五千年前にできた小室山も見渡せる。一帯は伊豆東部火山群と呼ばれ、噴火が一回だけの「単成火山」の集まり。ほぼ同じ場所で噴火を繰り返し、成長する富士山のような「複成火山」と異なり、火山群ではどこで噴火が起きてもおかしくないという。

 青木さんは、噴火のリスクを分かった上で「山焼きの伝統も残り、大室山は伊東市のランドマーク。近くで海の幸も山の幸も味わえる。訪れる価値がある」と力強く話した。

かんのん浜のポットホール=伊東市提供

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 大室山の噴火がもたらした城ケ崎海岸。九キロほどにわたっており、名所の門脇埼灯台から絶壁の海岸線が続くのが分かる。「打ち寄せる波の影響もあってこうなった」と、海岸を管理する地元のシルバー人材センター副理事長の太田地行(ちゆき)さん(69)が教えてくれた。

 波の浸食でできた穴「ポットホール」も、名所の一つ。岩の割れ目に岩石が入り、波で回転するうちに穴が円形に拡大し、岩石も丸くなる仕組み。直径七十センチ程度の岩石のあるかんのん浜のポットホールは、市の天然記念物だという。

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 「海岸の並木、空と海の青、伊豆大島を眺められる景色が最高だ」と太田さんは海に視線を向けた。

 <伊豆東部火山群> 大室山など伊豆半島東側の火山と、伊東市東方海域の海底火山で構成。噴火口は100カ所以上あるとされる。マグマの上昇に伴う群発地震は1978年から観測されており、89年7月には伊東市の沖合約3キロで海底噴火が発生。海底で見つかった高まりは「手石海丘」と名付けられた。

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古根村進然記者

 こねむら・ゆきしか 浜松市出身の35歳。浜岡原発や防災の取材を担当している。前任地の福井県と異なり、故郷は好天に恵まれていると感じる。県東部や伊豆に興味津々。今は夏山シーズンに向け、体力づくりに奮闘している。

 

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