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清香探撮(せいこうたんさつ)

富士山 (2)山小屋の焼き印 八角形の思い出刻む

炭で熱せられたこてで、金剛杖に焼き印を押す渡井弘子さん(左)=富士宮口六合目の宝永山荘で

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 炭の中で焼かれた金属のこてを取り出すと、小屋の主人が手慣れた動作で金剛杖(こんごうづえ)に印を押した。煙が上がり、木が焼ける匂いが小屋にあふれた。

 富士宮口登山道の六合目にある宝永山荘。五合目から登り始めて三十分ほどの近さ。炉端で焼きごてを持つのは女将(おかみ)の渡井弘子さん(76)で、登山者が集める焼き印を押している。

 金剛杖は八角形。富士山の山頂には八つの峰があり、その数を表しているといわれる。回しながらこてを押していくと、四つの面に「表口、六合、海抜2500メートル、宝永山、表」の文字が煙とともに浮かび上がった。富士登山は二回目という東京都世田谷区の萩原義浩さん(55)は「昨年は吉田口から、今年は富士宮口から」と話し、いっぱい押された焼き印にまた一つ思い出を刻んでいた。

 焼き印を押すとき以外は小屋は炭の焼けるいい匂いが鼻をくすぐっていた。「ナラの炭は、はぜなくていい」と、渡井さんは竹で息を吹き掛けて火をおこす。海抜ゼロメートルからの富士登山を目指す登山者の一日目の終わりにたどり着く小屋でもある。夜は海の香りも連れて来るのだろうか。

 写真・文 立浪基博

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