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静岡ワサビ 世界農業遺産に認定

ワサビ田を視察した国連食糧農業機関のヘリダ・オイエケ委員=1月30日、伊豆市筏場で

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◆茶草場農法に続き 県内2つ目

 国連食糧農業機関(FAO)は九日、静岡県の伝統的なワサビ栽培と、徳島県西部の山間地で継承されている急傾斜地農耕を世界農業遺産に認定したことを明らかにした。ローマの本部で八日から開催していた専門家会合で決まった。静岡県内の世界農業遺産は掛川市などの茶草場(ちゃぐさば)農法に次いで二つ目。日本の世界農業遺産は十一となった。

 申請した農林水産省は、伝統農法の振興や農産物のブランド化につながると期待している。

 静岡県はワサビ栽培発祥の地とされ、沢沿いに開墾した階段状の農地で、湧水の養分だけで育てる伝統を守っている。「静岡水わさびの伝統栽培」の名称で認定された。

 世界農業遺産は、生物多様性や土地・水管理の独自性が保たれ、優れた景観を形成していることなどが認定の基準とされている。

 静岡、徳島の二地域は昨年三月、冷害や洪水に強い宮城県大崎地域の稲作とともに、農水省の公募で世界農業遺産候補に選ばれた。申請を受け、FAOは順次、現地調査などの審査手続きを実施、大崎地域は一足早く同年中に認定された。三地域は国内版の日本農業遺産にもなっている。

◆若い生産者ら励みに

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 「静岡水わさびの伝統栽培」の世界農業遺産への認定が発表された九日、生産者や認定を目指してきた関係者は歓喜に沸いた。静岡県内では掛川市の「静岡の茶草場(ちゃぐさば)」が二〇一三年五月に世界農業遺産の認定を受けており、二つの認定を有する国内唯一の県となった。

 県内のワサビ農家でつくる県山葵組合連合会(事務局・伊豆市)の塩谷広次会長(66)=伊豆市筏場(いかだば)=は「本ワサビを多くの人が食べ、ファンになってくれるきっかけになると期待したい。世界に認められることは、若い生産者たちの励みにもなるだろう」と認定を歓迎する。

 伊豆市の「筏場のわさび田」は約十五ヘクタールで国内最大級の生産規模。同市観光協会中伊豆支部の内田幸利支部長(55)は「観光客受け入れの面で課題はあるが、注目が集まることはうれしい。生産者と連携して盛り上げたい」と意気込んだ。

 県農芸振興課によると、県内のワサビ栽培は約四百年前に静岡市葵区にある山間部の有東木(うとうぎ)で始まったとされる。その後に伊豆半島に伝わり、沢を開墾した階段状の農地でわき水のみで栽培する「畳石(たたみいし)式」と呼ばれる静岡独自の農法が生まれた。現在は伊豆市や静岡市、河津町などで盛んに栽培され、一六年の県のワサビ産出額は四十億円と全国一位となっている。

 県は一六年九月、ワサビを栽培する十一市町やJAなどと連携し、「静岡わさび農業遺産推進協議会」をつくり、申請書の提出などを進めてきた。川勝平太知事は「県は地域の皆さんとワサビ田に取り巻く自然環境の保全と、この伝統栽培の後世への継承に使命感を持って取り組む」とのコメントを発表した。

 静岡市の田辺信宏市長も談話を発表し、「今回の認定は生産者のみならず市にとっても意義深いものと受け止めている」と喜んだ。伊豆市の菊地豊市長も「認定を弾みに持続的な発展につながるよう、ワサビを軸とした地域振興やワサビ田の周辺環境の保全などに取り組む」とコメントを出した。

 <世界農業遺産> 伝統的な農法や農村文化を守るため、2002年に国連食糧農業機関(FAO)が認定制度を設けた。18年2月時点で19カ国47地域ある。日本の認定地域は中国に次ぎ2番目に多い。認定を受けると次世代への確実な継承が求められるが、国連側から支援金などが拠出されることはない。農林水産省は国内版として16年度に日本農業遺産を創設した。

 

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