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中日レディーズサロン

第199回 薬師寺副執事長 大谷 徹奘さん 「よっぽどの縁」

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 第百九十九回中日レディーズサロン(中日新聞東海本社主催)が五月三十日、浜松市中区のホテルコンコルド浜松で開かれた。世界遺産に登録されている奈良県の薬師寺副執事長の大谷徹奘さん(55)が「よっぽどの縁」と題して講演した。

 奈良には日本を代表する寺がいくつもあります。奈良に都があったとき、最初のころできたのが法隆寺。終わりのころにできたのが東大寺。その二つのまん中くらいのころにできたのが薬師寺です。薬師寺は心を徹底的に鍛える学校です。私は十七歳のころ入学し、教科書を配られました。その教科書こそが、お経です。

 この「経」という字は上と下を結ぶという意味で「たていと」と呼びます。そして「みち」とも。人間は悩みがあり、人生のベテランにも子どもにも迷いがあります。そんな私たちが迷わずに生きていくための道が書かれているのが「お経」なのです。

 人生をしっかり歩くためには「幸せ」という目的をはっきりしないといけません。お経には「幸せ」という言葉は出てこないが、大きなヒントになる言葉があります。「身心(しんじん)安楽」。「身」というのは形のある世界で「心」は形のない世界を指します。私たちは形あるものは手に入れてきたけど、どんなに欲しいものが手に入っても、安らかな心、「安心」でないと充足しません。

 安心を考えるには、不安の原因を考えるのが良く、不安の原因に共通するのは「人間関係」です。では、どうすれば良好な人間関係を保って、人と付き合えるようになるのでしょうか。その答えもお経にあります。難しい七文字の言葉なので、あえてこの場で紹介しませんが、私なりに翻訳すると「よっぽどの縁」という言葉になります。私がこの会場まで来るのにも、災害があったら来られませんでした。電車だって車だって造ってくれた人がいないと乗れません。何より平和じゃないと、みなさんとお会いできなかったでしょう。出会いは「よっぽどの縁」によって成り立っています。「好き」「嫌い」「たまたま」とか表面的なもので済ませようとしていますが、そこには、たくさんの「おかげさま」が詰まっているのです。

 おおたに・てつじょう 1963年、東京都江東区にある浄土宗の寺の次男として生まれる。高校2年生のとき、奈良薬師寺(法相宗大本山)の故高田好胤(こういん)管主に師事。龍谷大文学部仏教学科卒業後、同大学院文学研究科修士課程修了。99年から「心を耕そう」をスローガンに、全国各地で法話行脚を開始。2017年6月から薬師寺副執事長。奈良少年院・大阪矯正管区篤志面接委員も務める。「よっぽどの縁ですね」など著書多数。

 

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