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中日レディーズサロン

第196回 日本在宅ホスピス協会会長 小笠原 文雄さん 「なんとめでたいご臨終」

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 第百九十六回中日レディーズサロン(中日新聞東海本社主催)が十一月二十日、浜松市中区のホテルコンコルド浜松であった。小笠原文雄さん(69)が「なんとめでたいご臨終」と題し、在宅緩和ケアの第一人者として、自宅で最期まで穏やかに生ききる大切さを伝えた。

 病院で「ご臨終です」と言われるが、病気に負けて死んだ、死は敗北だという意味になっている。でも死んだら終わり、じゃない。生きている皆さんが、将来は死ぬと実感して一日を生きる、笑顔で長生きするためにどうすべきかを考えるということ。苦しまず笑顔で最後まで生ききって、その後に「死」がある。

 病気に勝てるのなら病院に入れた方がいいが、眉間にしわを寄せて病院で死んでいく患者を見ていて、「これ、なんだろう」と思うようになった。

 七十歳くらいで大腸がんになり手術して再発し、二年後に歩けなくなった男性がいた。自宅で死亡を確認した時に、「これほどまでに穏やかな顔で死ねるのか。病院と在宅で、なんでこうも違うのか」とカルチャーショックを受けた。

 八十七歳の結腸がんの女性は寝たきりになって「家に帰りたい」と願い、退院から三カ月後には歩いて喫茶店に行っていた。「病院で孤独死するところだった。誰とも心が通わなかった」と話していた。骨に転移して痛がり、息子が入院させたら亡くなった。

 肺がんで脳転移した六十六歳の女性は退院後、一カ月弱は庭で草むしりした。旅立ちの三分後には娘さんが枕元でダブルピースの写真を撮った。「どうせ一カ月の命。うれしくってしょうがない。苦しみ抜く日々と、笑顔で暮らすことと、比べものにならないじゃないですか」と言われた。

 「ホスピス」というのは、生き方や死に方、みとりをするとはどういうことかを考えること。「ケア」は人と人が温かく関わって希望を持たせ、生きる力をみなぎらせること。だからこそ延命効果がある。

 穏やかな場所にいると痛みがかなり柔らかくなる。ストレス空間では痛みを感じる。家にいれば和らぐし、病院だと広がる。

 生まれる所は選べないが、死ぬ所は自分で決められる。所定まれば心定まる。そうすれば穏やかに死ねる。その人らしい暮らしの中に、希望死・満足死・納得死がある。

 おがさわら・ぶんゆう 1948年、岐阜県羽島市生まれ。名古屋大医学部卒。岐阜県大垣市民病院、名大病院、愛知県一宮市立今伊勢病院での勤務を経て、89年に岐阜市内で小笠原内科を開業した。内科、循環器科を中心とした外来診療に加え、医師6人で24時間対応の在宅医療を展開している。在宅医療を広める取り組みを続け、2011年から日本在宅ホスピス協会会長。患者1000人以上を、それぞれの自宅でみとっている。

 

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