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中日レディーズサロン

第192回 明治大教授 斎藤 孝さん 「日本語力とコミュニケーション力」

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 第百九十二回中日レディーズサロン(中日新聞東海本社主催)が三月六日、浜松市中区のホテルコンコルド浜松で開かれ、明治大教授の斎藤孝さんが「日本語力とコミュニケーション力」と題して講演した。「新聞は正しい日本語を学べ、社会に対する意識を高める教材」と強調。出席者全員で古典文学の一節や歌舞伎のせりふを音読した。

 小さいころ、父親が会社を経営していた関係で新聞五紙をとっている環境で育った。今の学生は新聞を読んでいる人が少ない。私は新聞を教材にした授業をしているが、何がいいかというと、日本語が正確になるということと社会に対する意識が高まる。大学の授業で、入ってきたばかりの一年生に新聞を読ませて切り取らせている。ノートの左側に張り、右側には要約とコメントを書かせる。そういう作業を二週間やると、全員が新聞は素晴らしいというようになる。新聞は見出しや前文があり、要約力をきたえるにはもってこい。日本語力の基本、社会の意識は大体新聞でまかなえると思う。

 私が小学四年時の先生が、新聞を教材に授業をしてくれた。新聞で一番大切なところは、先生は社説だと教えてくれた。ここにいる皆さんも、国語力は新聞で鍛えられたのではないか。

 今の日本の大学生は真面目だけど、月に一分も読書しないのが半数いるという統計がある。残念だ。読んでほしい本に、論語と福沢諭吉の「学問のすゝめ」がある。江戸時代には、小さいころから寺子屋で論語を学んだから、一生文字には困らなかった。論語の世界では、知性の知、真心の仁、勇気と行動力の勇、この三つが重要と教えている。学問のすゝめは明治時代に、これからの日本人は学ぶことを中心に人生設計をしていくべきだと説いた本だ。

 コミュニケーション力は、人間関係をあたためる雑談力、意味を理解し伝達する要約力、クリエーティブな会話力の三つが必要。腹から声を出して音読することで元気になる。繰り返すことで言葉も覚えていくし、語彙(ごい)も増える。夏目漱石の小説を読むと語彙が豊富。電子辞書を手元においておもしろい言葉をひくと、言葉を理解できあっという間に語彙が身につく。文学は人間性を豊かにする。

さいとう・たかし 1960年、静岡市生まれ。東大法学部卒。同大学院教育学研究科修士課程修了、博士課程単位取得満期退学。明治大文学部助教授を経て2003年から教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。01年に出した「声に出して読みたい日本語」はシリーズ化され、日本語ブームをつくるとともに、ベストセラーになった。

 

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