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東海本社 中日懇話会

第423回 日本総研上席主任研究員 藤波 匠氏 「人口減が地方を強くする」

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 第四百二十三回中日懇話会が六月十五日、浜松市中区のホテルコンコルド浜松であり、日本総合研究所上席主任研究員の藤波匠さんが「人口減が地方を強くする」と題して講演した。人口の減少を前提とし、若者らの雇用や生活環境を高めるためには、民間の力が重要になると解説した。

 人口減は避けることのできない問題だが、これをきっかけに地域を強くする動きに持っていけないかと考えている。東京、名古屋、大阪の三大都市圏のうち、転入者数が転出者数を上回っているのは東京圏のみで、二〇一七年は約十二万人だった。東京一極集中とみられるのはこのためだ。

 国は東京圏への転入超過をゼロにして、東京と地方との人口移動を均衡させようとしているが、そのためには十五兆円かけて地方で雇用を生む必要がある。恣意(しい)的な操作は非効率でコストがかかる。それよりも、地方で住み続けている若者たちの雇用確保や所得改善を優先すべきだ。

 全国の自治体のうち半分の市町村に過疎地域が存在する。高齢化とともに、あらゆる分野で人手不足が当たり前となり、仕事を集約して一人当たりの所得を伸ばすことが必要になる。岡山県の笠岡諸島では、NPO法人が島の暮らしを支える「何でも屋」として、介護施設や保育園の運営から買い物支援、特産品開発などを手掛けている。個別では採算が合わないが、小ロットで全てやることで生産性や稼働率を高め、若者にも働く場を提供している。

 高齢化が進む東京の多摩ニュータウンでは、ヤマト運輸が域内の一括配送や買い物代行、家事サポートなどを行っている。秋田県横手市では、スーパーが交通空白地域の住民向けに定期無料バスを運行している。地域の課題への対応をすべて行政が担うのではなく、住民のニーズに応える民間の力が重要だ。

 ふじなみ・たくみ 1965年神奈川県生まれ。東京農工大大学院農学研究科修了。東芝を経て99年旧さくら銀行グループのさくら総合研究所入社。2001年の同社と日本総合研究所の統合により日本総研調査部へ。15年から現職。著書に「『北の国から』で読む日本社会」など。

 

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