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東海本社 中日懇話会

第419回 法政大大学院教授 坂本 光司氏 「ぶれず好業績を持続するいい企業の経営学」

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 第四百十九回中日懇話会は二月二十六日、浜松市中区のグランドホテル浜松で開かれ、法政大大学院教授で人を大切にする経営学会長の坂本光司さんが「ぶれず好業績を持続するいい企業の経営学」と題して講演した。

 いい会社とは人間を大切にする会社。これまで八千社を調べた中で、人を大切にしている会社で赤字の会社はない。社員を雇えなかったり、赤字になったりしている元気のない会社は七割あり、五つの言い訳をすることが多い。景気・政策、業種・業態、企業規模、ロケーション、大企業・大型店のせいにする。

 これらの言い訳は誤解や甘えだ。例えば、設立六十年で寒天製造販売の伊那食品工業(長野県伊那市)は、五十数年間黒字で四十数年間は増収増益が続いている。五十年近く不景気になったことがない会社だ。

 業界では構造的に不況でも、国内工場でのシャツ製造にこだわったメーカーズシャツ鎌倉(神奈川県鎌倉市)のように元気な企業もある。小さな企業でも、スーパーのまるおか(群馬県高崎市)は全国から安全でおいしい食品を選んで展開し、客単価は一万〜二万円と好調を維持している。東京などの大商圏から離れていても、義肢装具メーカーの中村ブレイス(島根県大田市)は不況知らずで世界中から働きたい人が集まり、地方の立地は不利にならない。

 大切なのは、経営の目的は従業員や顧客、取引先など企業に関係する人々を幸せにするということ。業績は手段や結果でしかないが、利益を目的と混同している会社が多い。売り上げ拡大が難しい時代で、利益を出すために多くの企業は人件費にメスを入れるが、そんなことを経験した社員の働きがいは下がる。業績を左右するのは社員のモチベーションだ。まずは年に一回、意識調査で社員に満足度を聞いてみるといい。

 価格競争をすると赤字になる確率が高くなる。低価格は、社員や外注といった取引先など誰かが苦しまなければ実現しない。そのような価格は長続きしない。オンリーワンのものを作ったり、長い付き合いができたりと非価格の部分で競争することが大切になる。

 さかもと・こうじ 1947年、大井川町(現焼津市)生まれ。法政大経営学部卒業後、浜松大(現常葉大)、福井県立大、静岡文化芸術大の教授などを経て、2008年から法政大大学院政策創造研究科教授・静岡サテライトキャンパス長。専門は中小企業経営論、地域経済論など。これまで全国8000社を超す中小企業の調査、分析を行っている。「日本でいちばん大切にしたい会社1〜5」や「人を大切にする経営学講義」など著書多数。

 

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