トップ > 静岡 > 東海本社 中日懇話会 > 懇話会一覧 > 記事

ここから本文

東海本社 中日懇話会

第418回 難民を助ける会理事長 長 有紀枝さん 「日本の視点から考える難民問題〜難民を助ける会の活動を事例に」

写真

 第四百十八回中日懇話会が一月三十一日、浜松市中区のホテルコンコルド浜松であり、NPO法人難民を助ける会の長有紀枝理事長が「日本の視点から考える難民問題〜難民を助ける会の活動を事例に」と題して講演した。

 日中戦争から太平洋戦争にかけての日本人の犠牲者は、民間人も含め約三百十万人。中国などからの引き揚げ者は六百三十万人ほどで、当時の人口の一割近くが難民だった。まずは、そのことを頭の片隅に入れてほしい。

 難民の定義は一九五一年の「難民の地位に関する条約」で、迫害を受ける恐れがあり、国籍国の外にいる人などとされている。六七年の「難民の地位に関する議定書」では、欧州で起きた事件を対象とした同条約の地理的制約などが取り除かれた。

 ただ、難民を広義で捉える動き、住み慣れた家を追われ、国内にとどまる国内避難民の問題もある。二〇一六年時点で、難民は世界に約二千二百五十万人。多い順に、シリア、アフガニスタン、南スーダンとなっている。

 日本は、同条約対象の難民らを受け入れている。一六年までの申請者数は約四万一千人で、このうち六百八十八人が認定された。一六年は、インドネシアやネパール人が多く、国際的な難民の流れと違う。真相は分からないが、労働目的で申請する人もいる。

 一方で六百八十八人のうち、百三十一人は不服申し立てで認められており、日本の厳格さが分かる。例えば、反政府的な活動をした父親が警察に殺され、恐怖で夜も眠れないという人が申請したとする。その人の母親や妹がまだ自国にいる場合、認定は難しい。しかし、欧米は同じ条件でも認定される。

 助ける会は、支援として地雷除去のほか、今後テロリストにならないように教育もしている。国際協力を通じて、難民問題と関わることも選択肢の一つだと思っている。

 おさ・ゆきえ 1963年東京都生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。91年に国際NGO「難民を助ける会」の職員となり、紛争下の緊急人道支援や地雷廃絶の活動などに携わった。2003年に退職し、東京大学大学院で博士号を取得した。08年7月から現職。立教大学教授も務める。著書に「入門 人間の安全保障」などがある。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

中日新聞しずおかの記事はこちら

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索