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東海本社 中日懇話会

第390回 双日総合研究所チーフエコノミスト 吉崎 達彦氏 「米中経済の行方」

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 第三百九十回中日懇話会は九月十六日、浜松市中区のグランドホテル浜松で開かれ、双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦さんが「米中経済の行方」をテーマに講演した。中国経済の減速への懸念を背景とする世界同時株安を境に「市場の心理が乱れている」と指摘。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切る時期に関して「九月の利上げはないのでは」との見方を示した。

 中国の経済が変調を来している。五月ごろからおかしいという話があり、ビジネスの現場では、例えば車が売れなくて在庫が増えているという声が聞こえた。中国は国内総生産(GDP)の成長率が7%と説明しているが、統計への疑いはある。市場メカニズムをゆがめるような極端な株価対策や八月の人民元の切り下げにより、中国指導部の経済政策への信認も薄れている。

 米国経済は好調だとされる。四〜六月期の実質GDP成長率は3・7%の高成長で、失業率も5%台に下がった。一方で、データだけでは米国経済の本質を見落とすかもしれない。例えば、米国の大統領選の動きを見ると有権者のふつふつとした怒りを感じる。

 FRBが十六、十七日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げの判断に注目が集まる。これまで「九月」の見方が有力だったが、八月下旬の世界同時株安を境にマーケットの心理が乱れている。中国発の世界経済の混乱は大きい。米国が利上げをし、二〇〇八年のリーマン・ショック後から続けているゼロ金利を解除すれば、相当な影響が出るだろう。数カ月待った方がリスクが小さくなるのではないか。ちなみに私は来年一月とみる。

 一方で、FRBとしては「金融政策は外国の状況ではなく、米国国内の指標を見て決める」というロジックがある。実際にふたを開けてみてどう出るか。

 日本経済は最近、不安な指標があり、四〜六月期の実質GDPは年率1・2%減(二次速報値)だった。アベノミクスも三年目で、軌道の見直しが必要な時期ではないか。

 よしざき・たつひこ 1960年、富山市生まれ。一橋大卒業後、日商岩井(現双日)に入社した。同社の広報誌「トレードピア」編集長、米ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会代表幹事秘書・調査役などを経て、95年に日商岩井に戻って調査畑を歩む。関心領域は日本経済、貿易動向、米国政治、外交・安全保障論。主な著書は「アメリカの論理」「オバマは世界を救えるか」など。

 

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