トップ > 静岡 > 静岡けいざい > 特集 > 記事一覧 > 2018年の記事一覧 > 記事

ここから本文

静岡経済 特集

坂本先生お薦め 大切にしたい会社3(7) ドコス(浜松市南区)

◆「縁の下」社長心がけ

従業員の顔写真が入った組織図を示しながら「社長が一番下で支える」と話すドコスの大河内慶吉社長=浜松市南区で

写真

 運送や内職請負といった業務ごとに、計二十五枚の顔写真が入った組織図。従業員が上、社長が下の逆ピラミッド形が目を引く。大河内慶吉社長(59)は「従業員が働くのを社長が一番下で支えるという意味を込めた」と理由を語る。

 大手企業で市場調査などを担当していたが、同僚の面前で上司に厳しく叱責(しっせき)されプライドが傷つき、「楽しく働ける会社をつくるんだ」と退職。一九八八年、トラック一台を購入して運送の仕事を始めた。九八年にトラック五台、従業員五人でドコスを設立。二〇〇七年には従業員十八人、トラック十八台と拡大し、新社屋を建てた。

 「会社は俺の力で成り立っている」。順調な成長ぶりに有頂天となり、目標を達成できないと「働きが悪いからだ」と、会議などで社員に不満をぶちまけた。職場には常に張り詰めた空気が漂い、社員同士のトラブルも発生。初心とは真逆の会社になっていた。

 一年のうちに八人が会社を去り、病気による休職やトラックの横転事故も重なった。追い打ちを掛けたのが〇八年のリーマン・ショック。「運ぶ物がなく、倉庫はがらんがらんだった」。売り上げは三割減り、どん底に突き落とされた。

 「このままではつぶれてしまう」と、倫理を学んで自社の成長を目指す倫理法人会の先輩に相談。「心持ちが良くない。それが会社に表れている」と言われ、トラックにあいさつすることを勧められた。

 試してみてすぐに「ドライバーはどうなんだ」と、従業員に声を掛けていないことに気付いた。注意して見てみると「しっかり、仕事をしていた」。業績悪化を従業員のせいにしてきたが、変えなければいけないのは自身だと痛感した。

 職場の雰囲気を和らげようと、朝礼で二十四時間以内にあったうれしい出来事を発表し合う取り組みを始めた。「気持ちが張り詰め過ぎると事故につながる。その防止策でもある」と狙いを語る。従業員を大切にする心を形にしようと、逆ピラミッド形の組織図を作成。従業員の家族にも誕生日に花を贈るようにした。

 最近では、ドライバーに休憩を促すために、本社でトラックの動きを即時把握できる運行管理システムを導入。直近の三年間は離職者がほぼなく、ゴールド免許保有率が四割を超えるなど違反や事故も減った。

 会社設立から今年で二十年を迎え、「これからは、もう少し従業員の自主性に任せていきたい」と大河内社長。組織図を見つめながら、次の十年を展望する。

(山田晃史)

 =終わり

人を大切にする経営学会 坂本光司会長 ここが「一押し」

◆士気高める最先端経営

 貨物運送と内職請負の2本柱。定期ではないスポット便や緊急の荷物を扱う業態で、物流でも他社がやりたがらない分野に強みを持つ。無理難題に対応するため、送料は高くなるが、顧客満足度が高い。一方、従業員の士気を上げるのは大変だ。厳しい仕事のため、気にかけてくれる仲間や上司がいる家族的な経営が重要になる。社長はさまざまな勉強会に出席し、優れた取り組みを持ち帰る。利益ではなく、いかに正しく生きるかを大切にし、従業員の倫理教育にも熱心だ。20人規模の物流会社では最先端の経営をしている。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

中日新聞しずおかの記事はこちら

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索