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静岡経済 特集

坂本先生お薦め 大切にしたい会社3(2) 共同(浜松市東区)

◆人間的成長を後押し

社員とのコミュニケーションを心掛ける共同の有賀公哉社長(左)=浜松市東区で

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 「裏方に回ることが多く、しかも昼夜を問わない仕事。それでも、われわれの会社を選んでくれた人材だから、大切にしたい」

 商業ビルや公共施設の設備管理、清掃、警備などを担うビルメンテナンス業の会社。機械やロボットには任せられず、人の力が頼りの業務が大半を占めるだけに、有賀公哉社長(54)は、従業員への心配りを欠かさない。

 創業は一九七八年。グループ会社を含めると、パートやアルバイトを中心に四百五十人の従業員がおり、職場は静岡、愛知両県のビル千棟以上に及ぶ。託されたビルの資産価値を極力損なわずに維持するという、課された使命を達成するには、一人一人の丁寧な清掃や点検がものをいう。

 気持ち良く業務に専念してもらうために、有賀社長は専用の携帯電話「ブレーブライン」を常に持ち歩く。「勇気を振り絞ってかけてきてほしい」と願い、「勇ましい」を意味する英語brave(ブレーブ)から名付けた。従業員は誰でも、悩みや意見を社長に電話で直接伝えられる。

 例えば「手抜きをする従業員がいて困る」との声が寄せられれば、有賀社長が内々に事実かどうかを確認し、当事者を呼んで指導するなど、問題の解決に当たっている。

 「共同の社員なら、世の中の知識は持っていてほしい」(有賀社長)との思いから、人としての研さんを積む場も用意する。二年に一度の社員旅行には奉仕活動を組み入れる。今年は十四人が参加し、フィリピンで貧しい子どもたちに食事やおやつを作ったほか、病院に行けない高齢者に糖尿病の簡易検査をした。

 月一回の営業会議の場で、社員に時事問題の「ミニテスト」も実施。顧客との雑談力を身に付けるのが目的で、優秀者を年一回表彰している。

 こうした取り組みが奏功してか、離職する社員はほとんどいない。有賀社長は「社員は『この会社にいれば、人間的に成長できる』と思ってくれているのではないか。それが定着につながっている」と分析する。従業員への思いやりの根底には、有賀社長ならではの経験がある。高校時代にアルバイトとして共同で働いた。家庭の事情で進学を諦め、大手企業に就職したが、社風になじめず、数カ月で共同に再就職した。「ここでアルバイトから社長までほとんどの仕事、役職を経験した。だから、それぞれの立場の気持ちが分かる」と有賀社長。

 多大な費用がかかるビルは簡単には建て直せない。今ある建物をできるだけ長く活用するために、ビルメンテナンス業が果たす役割は大きいという自負がある。だからこそ、「この仕事がもっと世の中に認められ、携わる人たちが生き生きと働ける会社にしたい」。

(伊東浩一)

人を大切にする経営学会 坂本光司会長 ここが「一押し」

◆社員第一主義 心つかむ

 ビルメンテナンスは「縁の下の力持ち」的な産業で派手ではないが、なくてはならない仕事。従業員満足度を高めるのは難しいと言われている業界だが、社員第一主義を貫く経営を見せることで、辞める人がほとんどいない。社長はアルバイトで入った異色の経歴で、従業員それぞれの立場だったらどう思うのかを考えることができる。大変な仕事でも、いい仲間や上司がいれば、従業員満足度は上がる。業種の限界を口実にして人を大切にできない会社が多い中、どんな業種でも働きがいを醸成できることを示すモデルだ。

 

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