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静岡経済 特集

時代を超えて ツナ缶の物語<9> 原料調達 国際化の波

遠洋で漁獲した冷凍のキハダやカツオ。価格は海外の相場と連動している=焼津漁港で

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 ゴトゴトゴト…。次から次へとベルトコンベヤーを流れる冷凍の魚。石が転がるような硬い音が響く。中西部太平洋で漁獲したキハダマグロやカツオだ。ほとんどが加工用で、ツナ缶やかつお節などに使われる。

 五月上旬、焼津漁港に巻き網船が入った。早朝から水揚げ作業を始め、クレーンを使って魚倉からキハダなどを取り出した。

 「遠洋の巻き網船は四十日間ほど操業して七百〜千トンを捕り、港では三、四日間かけて水揚げする」と焼津漁協の職員は説明する。船からベルトコンベヤーで漁港内に搬入した後、魚種や大きさごとに仕分けし、仲買業者らがトラックで運び出す。

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 国内では戦前からツナ缶の生産が始まり、原料には主にビンナガという種類のマグロを使ってきた。今も漁師は日本近海で一本釣りなどで漁獲している。

 「現在、原料として多く使われるのがキハダで、カツオの割合も増えている」と、SSKセールス(静岡市葵区)取締役業務部長の高橋勉(52)は話す。

 日本缶詰びん詰レトルト食品協会によると、国内で作られるツナ缶のうち六割がキハダ、三割がカツオ、ビンナガは一割ほどだ。

 キハダが増え始めたのは一九八〇年ごろから。大型の巻き網船が登場して水揚げ量が伸びた。巻き網船は魚の群れを効率よく捕り、キハダやカツオはビンナガよりも安く手に入る。

 国内でいち早くキハダに着目したのが、いなば食品(同市清水区)。七一(昭和四十六)年、ほとんど活用されていなかったキハダを使って「いなばライトツナ」を売り出した。

 「その後、各社もキハダを使うようになった。円高が進んで輸入原料の割合も増えた」。同社マーケティング部課長の今井一聡(40)は語る。変動相場制に移ってから円・ドル相場は円高で推移。日本からのツナ缶の輸出は下火になったが、円高は原料の輸入にはプラスに働いた。

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 人口減の日本では年々、ツナ缶の生産量も少なくなっている。一方で、世界では需要は拡大している。

 国連食糧農業機関(FAO)のまとめでは、七〇年代半ばに六十万トンだった全世界の生産量は、二〇〇六年には三倍近い百七十万トンにまで増えた。

 現在、世界一の生産量を誇るのがタイ。日本がほぼすべて国内向けに作るのに対し、タイでは北米や中東などに輸出している。

 原料となる冷凍のキハダやカツオの取引量も多い。「タイのバンコク市場で取引される価格が国際的な相場となっている」と高橋は指摘する。バンコクでの価格が上下すれば、焼津を含む各国の市場の価格も連動する傾向にある。

 バンコクのキハダ相場は〇八年のリーマン・ショックの前に高騰し、いったん下落。その後、上下を繰り返して一三年からは落ち着いた水準となっている。

 高橋は「漁獲量と世界の需要のバランスで価格が変動する」と説明。グローバルな経済環境の中で、ツナ缶は日々製造されている。

=文中敬称略

 

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