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静岡経済 インタビュー

トップは語る ローランド 三木純一社長

外資系ファンド友好的

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 電子楽器大手ローランド(浜松市北区)は、米投資ファンド「タイヨウ・パシフィック・パートナーズ」が参画したMBO(経営陣による自社買収)により、二〇一四年十月に上場廃止となった。三木純一社長(62)は「ブランド力向上に互いに課題を共有し、着実に経営再建が進んでいる。上場したままでは成し遂げられなかった」と強調する。かつて外資系ファンドは「ハゲタカ」と呼ばれ、悪役のイメージもあったが「友好的なパートナーだ」と話す。

■外部の目で決定早く

 MBOのきっかけは私が海外の楽器ショーで勢いのあるベンチャーの若手社長に刺激を受けたからだ。経営環境が目まぐるしく変化する中、当社は四期連続の赤字となり、スピード感がないと生き残れないと危機感を持った。

 短期的な利益を追求したり、経営を乗っ取ったりしようとする外資系ファンドも確かにあるが、日本の株式市場では受け入れられないと分かったはずだ。今、大半のファンドは会社本来の価値を上げるパートナーとして出資している。

 タイヨウは友好的でウィンウィンの関係を築けている。「外部の目」が入ったことで経営の意思決定は圧倒的に早くなった。国内工場売却など構造改革と並行して「成長の種」をまいてきた。事業の選択と集中が一段落し、成長戦略にかじを切ったところだ。

■次々と積極策

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 これまでに米高級ヘッドホンメーカー「V−MODA(ブイモーダ)」の子会社化などリスクを伴う投資を思い切って実行した。一方で生産、物流面でマレーシア工場に主力製品の生産や物流のハブ機能を移管し、効率化を実現した。

 開発部門は従来、商品カテゴリーごとの縦割りのチーム編成だったが、横の交流を活発にしたことで相乗効果が生まれている。共通化した一つのアプリケーションやエンジンから複数の分野の商品を創り出す取り組みも進めたい。

 先進国市場は頭打ちといわれるが、管楽器分野は伸び代(しろ)が大きい。またスマートフォンやタブレット端末による楽曲制作が容易になったこともビジネスチャンスだ。サックスをベースにした電子管楽器「エアロフォン」、スマホ用の小型オーディオ・ミキサー「ゴーミキサー」といった新製品を昨年発売して、業界内で高い評価を受けている。

■収益力が向上

 音楽制作のプラットフォームを提供するクラウドサービスの世界展開に向けた準備もしている。歴代のシンセサイザーや電子ギターなどのソフトウエア音源を自由に使って作曲できるサービスだ。社員には市場創造につながる革新性を持った「ゲームチェンジャー」製品をつくろうと呼び掛けている。

 収益力は着実に高まっている。海外売上高が八割近くあり、特にユーロ安の影響を受けるが、一六年十二月期もしっかり黒字を出せた。為替要因を除けば実質は増収増益だ。再上場の時期は未定だが、上場企業と同レベルのコーポレート・ガバナンス(企業統治)の体制づくりは進めている。

 みき・じゅんいち 立命館大理工学部卒業後、1977(昭和52)年にローランド入社。取締役クラシック開発部長、取締役オルガン開発部門担当オルガン開発部長などを経て、2013年4月から現職。大阪市出身。

 <MBO(マネジメント・バイアウト)> 経営陣が投資ファンドや金融機関の出資、融資を受けて自分の会社や当該事業を買収すること。上場企業の経営陣が自社株をTOB(株式公開買い付け)し、非上場化するケースが多い。経営戦略の意思決定が迅速になるうえ、株価に左右されずに中長期的な改革に腰を据えて取り組めるメリットがある。MBO後に業績を改善させて再上場する事例も増えてきている。東証によると、過去に再上場したのは9社。今年に入ってからは回転ずし大手「スシローグローバルホールディングス」など3社。

(瀬戸勝之)

 

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