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静岡経済 ヒットの系譜

白柳式撰果機 選果機 

◆ミカン愛 技術磨く

等級ごとに仕分けられたミカンが流れていく選果機=浜松市北区で

写真

 大量のミカンが次々と選果ライン上を流れていく。ラインに取り付けられた光センサーが、キズがあるミカンを検知して除外する。高精度カメラが大きさや形状、糖度を識別して、等級ごとに仕分けする。一本のラインで一時間に約一万四千個のミカンをきれいに箱詰めする。

 白柳式撰果機(浜松市北区)が「戸板式」と呼ばれる一号機を考案してから六十七年がたつ。当初の選果機は大小の穴を開けた板に、ミカンを手で流していくと、小さいものから下の箱に落ちて選別できる仕組みだった。

 和船をつくる船大工だった白柳喜和雄・初代社長が、三ケ日地域のミカン農家の姿を見て発案したという。現社長の十亀(そがめ)栄次さん(65)は「農家のおばさんが箱から一つずつ手に取って仕分けている手間の掛かる作業を見て、何とかできないかと思ったのだろう」と推察する。

 昭和三十年代以降、農業の近代化が進み、量産が求められるようになった。これに対応するため、ドラムに穴を開けて手で回して選果する「太鼓ドラム式」を開発。四十年代にはモーターを付けた全自動式へと進化を遂げた。

 長年の開発で技術は蓄積されてきた。今ではリンゴやメロン、タマネギなど十種類以上の果物や野菜に対応した装置にも応用している。北海道や九州にも事務所を構えて全国展開した。市場占有率(シェア)は25%に上っている。

 現在は、赤外線を照射して果物の酸度のほか、ニンジンに含まれるベータカロテンの量などを測定できるシステムや、目に見えないキズまで見つける技術もある。こうしたデータは、農家の栽培技術の向上にも生かされている。

 先端技術が広がるにつれて、選果装置業界にも大手のメーカーが参入してきた。しかし、十亀社長は中小企業だからこそつくれる装置に自信を持っている。

 ラインのコンベヤーのつなぎ目にできる段差を極力小さくするために改良を重ねてきた。箱詰めの際、ミカンに与える衝撃を和らげる工夫も施している。十亀社長は「農家が丹精込めて育てた果物や野菜を消費者においしく届けるため、『落ちる』『転がる』という動作を極力抑えるようにしている。効率を重視する大手の企業にはできない細かな配慮だ」と明かす。

 同社の応接室には力強い筆致で「柑橘(かんきつ)一筋」としたためられた書が飾られている。「ミカンへの思い入れでは誰にも負けない」。こうした技術者たちの“愛情”が、会社をここまで育ててきた。

(白山泉、写真も)

 

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