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静岡経済 ヒットの系譜

春華堂 「うなぎパイ」

◆秘伝のたれ 半世紀

誕生から51年がたつうなぎパイ

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 静岡県内のメーカーが発想力や技術力をもとに生み出してきた商品は、食や住まい、通学通勤といった日常生活に密着して、売れてきた品も数多い。長く愛され続けて、さらに成長していく過程をたどった。

 浜松土産の定番の一品として知られる春華堂(浜松市中区)の「うなぎパイ」。一九六一(昭和三十六)年、浜松市中区鍛冶町の小さな工場で、作られ始めた。全国的に知られる土産物に成長したきっかけは、「当時の国鉄の売店に置いてもらってから。それから弾みがついた」(福川直輝取締役)と振り返る。発売から五十年間で累計二十五億本以上を販売した。

 一八八七(明治二十)年の創業以来、甘納豆などが目玉商品だった春華堂。浜松らしい菓子を生み出そうと「パルミエ」と呼ばれるパイ風のフランス菓子からヒントを得て、浜名湖名産のウナギをモチーフにした製品を発案。販売当初一本十五円する高級品だった。現在は十二本セットで八百六十六円。一本あたり約七十二円だ。

秘伝のたれを焼き工程の最後で塗っていく=浜松市西区のうなぎパイファクトリーで

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 これが、国鉄駅の売店に地域性を持たせようとしていた鉄道弘済会(現キヨスク)の目に留まって、一押しの声がかかったという。その後、高度経済成長やバブル景気の波に乗って、知名度は「うなぎのぼり」に。売り上げも安定的に伸び続けて二〇〇七年には年間一億本を記録した。

 工場では製造の自動化による量産態勢を整える中、発売当初の味を守るために、生地作りの工程では、職人による手づくりに今もこだわっている。

 かば焼きと同様、味の決め手となるのは、焼きの最後の工程でパイに塗る「秘伝のたれ」だ。福川取締役は「工場の中でも一部の人しか知らない秘伝のレシピ。滋養強壮のためにガーリックが入っていると言われているが、細かい配合は私もよく分からない」と笑みを浮かべる。

 うなぎパイが隆盛したころには、品質の悪い類似品も出回った。「買ったけどおいしくなかった」という声が届いたこともあった。そこで、「他にはまねのできない最上級のパイをつくろう」と開発されたのが、「うなぎパイV.S.O.P.」。秘伝のたれに高級ブランデーを入れることで、袋を開けた時に洋酒の香りが漂うように工夫した。価格は一本百七十三円。

 春華堂は、これまでに、ほかの和・洋菓子も手掛けてきたが、うなぎパイが全体の売り上げの九割を占めている。福川取締役は「末っ子のうなぎパイが一番大きくなった。販売から半世紀がたったのを機に、春華堂の原点でもある和洋菓子にも力を入れていきたい」と語る。

 浜松市内にある三工場を統合して浜北区染地台に和洋菓子の製造工場を建設。一四年二月に稼働させ、新たな和洋菓子開発にも本腰を入れる計画だ。うなぎパイの登場から昨年で五十年。このヒットによって得た利益を元に、新たな挑戦が始まっている。

(白山泉、写真も)

 

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