トップ > 静岡 > 静岡けいざい > ヒットの系譜 > 記事

ここから本文

静岡経済 ヒットの系譜

ローランド BOSSコンパクト・エフェクター「OD−1」

◆35年不変のデザイン

同じデザインで35年つくり続けられているBOSSのコンパクト・エフェクター(手前左がOD−1)。高橋取締役は「変える必要がない」と話す=浜松市北区のローランド浜松研究所で

写真

 「初めから完成された形だった。今も変える必要がない。開発に携わる者の目から見ても、すごい」

 ローランドの子会社で、ギターの周辺機器を手掛ける「BOSS(ボス)」の高橋政雄取締役は、色とりどりの小箱を手に取りながら、こう語る。

 エレキギターにつないで多彩な音色をつくり出す「コンパクト・エフェクター」。ハードロックが全盛だった三十五年前の一九七七年、プロのギタリストの音色を再現しようと開発した一号機が「オーバードライブOD−1」だった。

 当時は「ファズ」と呼ばれる、過激なひずみを生むエフェクターが主流だったが、「プロの音とはどこか違った」(高橋さん)。自動車のトップギア(オーバードライブ)にイメージを重ねて、アンプを最大音量にした時の自然なひずみを実現し、ボスの名を一躍、世界にとどろかせた。

 音以上に評価されたのが、使われ方を考え抜いてつくり込んだ機能的なデザイン。

 暗い舞台上でも確実に操作できるように、足の裏全体で踏み込む大型スイッチを採用。目印となる発光ダイオード(LED)のランプも付けた。

 電子回路を収めるアルミ鋳造製の本体は、持ち運びやつなぎやすさを考慮して、縦一二・五センチ、横七センチ、高さ五・五センチに決めた。

 コンデンサーやダイオードなどの部品がひしめく初期の回路を、限られた空間に収めるのは、大変な作業だったという。しかし、高橋さんは「そのための工夫が技術革新につながることも多かった」と振り返る。

 過激なヘビーメタルやラップの登場など、世界の軽音楽の潮流の変化に合わせて、ボスは新機軸のコンパクト・エフェクターを次々と提案してきた。これまでに投入した機種は九十を超え、累計の販売台数は千二百万台に達している。

 デジタル技術の進歩によって、今では回路を指先ほどのチップに収めることが可能だ。それでも高橋さんは、「コンパクト・エフェクターのデザインは変えない」と断言する。それは、今でも多くのギタリストが愛用し、彼らと同じ道具にあこがれるギター好きな少年たちがいるからだ。

 「世の中にない新しい音を提案し続けることが僕らの使命」と、高橋さんは普通に語る。OD−1が確立したデザインは、ボスの開発者たちを「音づくり」に専念させてくれる、大きな宝となっている。

(林知孝、写真も)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

中日新聞しずおかの記事はこちら

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索