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AIする未来 〜人工知能がつくる新聞〜

AIの てにをは感じて 助詞に苦戦 進化は急速

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 政治は得意、数字は苦手−。静岡大の狩野芳伸准教授の研究室が開発中の人工知能(AI)に本紙の見出しを作ってもらったところ、このような傾向が見られた。「てにをは」の使い方にも課題が残る一方で、AIの学習のスピードは早く、将来の大きな可能性を感じさせる。

 珍しい単語や新しい単語が苦手なのは、過去記事をもとに見出しを作っているからだ。昨年以前はあまり紙面に登場しなかった森友学園の籠池泰典前理事長や、ノーベル文学賞のカズオ・イシグロさんの名前は認識できず、「森友の容疑者逮捕」や「ノーベル文学賞が受賞」に。「てにをは」も苦労している。

 本文中に出てこない単語で見出しを作る場合も。安室奈美恵さん引退への記事では「大ヒット曲『なみえ』」と、漢字の振り仮名の「なみえ」が曲名になってしまった。浅田真央さんの引退会見の記事で生成した「生き生き人生語る」や、日馬富士引退の「大相撲の貴さ感じて」なども、本文に該当するような文章は出てこないが、それらしい見出しになっている。

 井伊直虎が男だった可能性があるという新史料発見の記事では、第一段落に登場する「浜松市北区」の「北」の一字に反応。近年は北朝鮮に関するニュースが頻出しているからか「北の井伊さんら描く」「北の今川さん発表」と、北朝鮮を主語とするような見出しを作った。

 課題は多いが、AIの言語生成の可能性は広がり続けている。狩野研究室では、他にも自然言語処理技術の実用化を目指して研究に取り組んでいる。

 電通と共同開発したAI「AICO(アイコ)」は昨年十一月、一般公募のキャッチコピー大会で最終選考に残るコピーを生み出した。開発が進めば、インターネット広告などで、閲覧した人の趣味や好みに合わせた広告配信が可能になる。

 科学技術振興機構とのプロジェクトでは、精神疾患の診断を自動で行うことを目指す。また、うそをついたり見破ったりと人間ならではの駆け引きを会話で楽しむ「人狼(じんろう)ゲーム」を自動プレーする対話システムの研究も進めている。

(相沢紀衣)

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 AIの活用は、国内外のメディアで始まっている。

 日本経済新聞は二〇一七年一月から、AIが作成した上場企業の決算記事を電子版などに掲載するサービス「決算サマリー」を始めた。決算発表資料から適切な数値を形式にあてはめて文章を作るほか、売上高や利益が変化した理由を分析して原稿に反映させる。ネット上に公開するまでの一連の作業は全て自動で、二、三分で終わるという。江村亮一・デジタル事業営業マーケティンググループ副グループ長は「付加価値の高い記事の質を高めるためにも、一部作業をAI化することが不可欠」と狙いを語る。

 西日本新聞は同月、AIが作成した天気予報記事を一日だけの企画として掲載した。日本気象協会九州支社からの気温や降水確率などの天気予報データを取り込んで書かせた。

 朝日新聞は一六年から社内の省人化や外販を目指し、自動校正システムの開発に取り組む。記者が書いた原稿と、デスクが修正した原稿を読み込み、双方の違いから良い文章の特徴を見つけ出す能力をつけさせ、日本語の使い方や漢字の間違いを指摘、修正できるようにする。

 ヤフーは一六年、サイトのトップページの主要ニュース欄「ヤフートピックス」の見出しづくりで、一記事につき一三・五字以内で収まる形に生成させるのにAIをテスト採用。複数の候補を出させた。一七年夏から、人間が見出しをつける時間を短縮するための補助ツールとして活用している。

 海外でも「AI記者」が登場している。ワシントン・ポスト紙はリオデジャネイロ五輪報道で、試合結果やメダルの獲得数などの短信を担当。選挙報道や地域スポーツにも活用の幅を広げた。AP通信は決算リポートの作成にAIを活用しているが、一六年七月、野球のマイナーリーグの記事作成にも使うと発表した。

 記事の自動作成以外では、会員制交流サイト(SNS)上に投稿された文章や写真から、AIが事件・事故情報を抽出して報道機関向けに配信するサービスも。運営するスペクティ社によると、報道機関では本紙を含めて国内外の百十六社が導入している。

 本紙記事に見出しを付けるAIをつくった静岡大四年の岩間寛悟(かんご)さん(21)は「究極的にはテーマや設定を与えるだけで、小説をつくれたら」と未来図を描く。 

(飯田樹与)

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山元正・中日新聞東海本社整理部長の話

 AIが新聞の見出しをつけるとは、ついに時代もここまできたか。瞬時に五十の候補を考え出す能力には驚くが、まだ事実関係が間違っていたり、ニュースのポイントを捉えられていなかったりなど精度は低いといえる。見出しとは事件の背景や経験、価値観を考慮し、整理記者が悩みながら十字以内に表現する。そこには喜びや悲しみなどの人間感情が込められているが、AIにそれが可能だろうか。囲碁将棋で人間が完敗した今、AI見出しがどこまで進化していくのか見守りたい。

 

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