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家族が認知症と向き合う機会に 信友監督語る

◆映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」

高齢の両親の姿をカメラで追った信友直子さん=浜松市中区で

写真

 テレビディレクターの信友直子さんが約十五年かけて両親の姿をカメラに収めたドキュメンタリー映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」が九日、浜松市中区田町のシネマイーラで始まった。認知症の母文子さんと、その母を支える父良則さんを、一人娘の視点から捉えた。初回上映後の舞台あいさつで劇場に訪れた信友さんに、作品に込めた思いを聞いた。

 −両親の映像を撮るきっかけとは

 家庭用のビデオカメラを購入したのがきっかけ。二〇〇一年ころからプライベートで記録を始め、母の様子がおかしいと思い始めたのは一三年かな。その後、関わっていた番組のADがたまたま記録の存在を知って。そこから映像化につながった。

 −家族の姿を追う上での苦労や覚悟は

 母が認知症と分かり、一時は撮るのをやめようかとも思った。ただ、家族にとって日常の映像を撮るのは当たり前で。撮らないことで、むしろ母が傷つくのではと感じた。だからこそ変わらず撮り続けた。

 映像化について両親に相談してみると、「直子の仕事ならいいよ」と案外すんなりと受け入れてもらえて。親の「覚悟」を感じましたね。

 −テレビ放映で視聴者の反響を呼び、劇場化。映画も好評で上映館数も増え、全国六十七館で上映決定

 劇場でのサイン会などで観客の熱を感じている。「私の家では…」と家庭の話をしてくれるんです。

 実は、あえて間(ま)を取るようにワンカットを長めにした。状況を見て「体験」できる映像になるよう意識した。私の家族を通して、自分の家族を振り返ることができるようにと。

 −高齢者社会が進む中で伝えたいこと

 認知症は治らない怖い病気だと、悲観的に受け止められがち。ただ、私は母と父の姿を追って二人の新しい側面に気付けた。読書家で寡黙な父が母に尽くすようになったり、家族を守ってきた母が甘えたりわがままを言えるようになったり。親のことをすごく考えるようになり、変えられない現状と向き合い前を向くことができた。そういう共感が得られればと思います。

(大城愛)

 のぶとも・なおこ 57歳。広島県呉市出身、横浜市在住。テレビディレクターで主にドキュメンタリーを制作。放送文化基金賞奨励賞やニューヨークフェスティバル銀賞など受賞。母の言葉を受けて題した、初の映画監督作「ぼけますから、よろしくお願いします。」はシネマイーラで22日まで上映。

 

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