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伊豆のキンメ不漁 台風、黒潮大蛇行が影響

◆正月の祝い魚 高値直撃

水揚げされたキンメダイ。1キロ以下の小さいサイズが多いという=下田市の下田漁港で

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 伊豆半島を代表する高級魚で、正月の祝い魚として人気があるキンメダイ(キンメ)の不漁が秋口から続いている。大型台風の接近や、黒潮の大蛇行による漁場への影響が指摘される。キンメ料理を提供する温泉旅館からは悲鳴が上がる。

 二〇一六年のキンメの水揚げ量が約千二百トンで日本一の下田漁港(下田市)。八丈島周辺の海上に数日間滞在する遠洋漁業と、沖合の地キンメの一本釣り漁の拠点で、普段なら真っ赤なキンメが大量に水揚げされるが、最近は数十匹しか並ばない日もある。今年十月の水揚げ量は六十三トンで、前年の百九トンを大きく下回った。十一月は八十三トンで前年並みだったが、十二月は再び低調だという。

 伊豆漁協下田支所の飯田安一市場課長(55)は「鍋や宴会シーズンのこの時期、キンメの需要は高く、比較的高値で変動も激しい」。秋から冬にかけて、地キンメは例年より高い一キロ当たり三千〜五千円台の浜値で取引されているという。不漁の理由について「漁業資源の減少に加え、十月は台風21号と22号がずっと太平洋上にいて、半月ほど漁に出られなかった。年々、漁業者が減っている影響もある」と分析する。

 さらに、黒潮が東海沖で大きく南へ曲がる「黒潮大蛇行」が今年、十二年ぶりに確認された。一本釣り漁を四十年間続ける新井俊文さん(58)は「今年は潮が悪いね。ずっと変わっていない。大蛇行の影響だと思うけど」とため息をつく。沖合十キロの漁場は、多い日で七十〜八十匹釣れるが、最近は数匹しか釣れないという。深海魚のキンメの一本釣りでは水深三〇〇〜五〇〇メートルに仕掛けを下ろすが、「潮の流れが速く、狙い通りに下ろせない」と口にする。

 県水産技術研究所の海野幸雄・資源海洋科長は「大蛇行は下田港沿岸からは離れており直接の影響はないが、同じ流路が長期間続く特徴があり、周辺の潮の流れもしばらく変わらない可能性がある」と予想する。

 同じ伊豆半島東岸の東伊豆町のキンメダイは「稲取キンメ」のブランドで知られる。伊豆漁協稲取支所によると、通常は月平均十二トンほどの水揚げが今秋は三トンほどしかなかった。贈答用や土産品として姿煮が人気だが、入手が困難で生産を見合わせる業者もある。

 稲取キンメにこだわった料理が人気の温泉旅館「はまべ荘」を営む鈴木文雄さん(78)は「お客さんに稲取キンメを味わってもらうため、市場で値が上がっても買い付けている。苦しいが妥協はできない」と胸の内を明かした。

(中谷秀樹)

 

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