トップ > 静岡 > 12月5日の記事一覧 > 記事

ここから本文

静岡

トールペイントで普段の生活華やかに

◆浜松の広瀬さん 日本ヴォーグ社雑誌に作品数々

 手工芸の全国誌、日本ヴォーグ社の「ペイントクラフトデザインズ」誌にほぼ毎号、トールペイントの作品が紹介される作家が、浜松市にいる。日本手芸普及協会の講師で、クラフトデザイナーの広瀬理恵子さん(64)=同市浜北区宮口。ヴォーグ社は「作風が幅広く、読者からの人気も高い」と評価している。

 広瀬さんは二十代前半まで画家を志し、公募展で入選などを繰り返していた。しかし、「芸術作品に仕上げねば」というプレッシャーや苦痛を感じるように。そんな時に出合ったのが、後の夫となる昇さん(64)が手掛ける革工芸。デザインを手伝ううちに、トールペイントを知った。

 トールペイントは、普段の生活で使う木製品や金属、革製品にアクリル絵の具で絵を描いた作品。「芸術性を求めなくてよく、楽しく描ける」と、打ち込むようになった。

 そんなある日、広瀬さんがデザインしたアヒルの親子の鉢置きの写真を、昇さんがヴォーグ社に投稿。編集者の目にとまり、一九九八年に掲載された。以降、同社から次々に依頼やリクエストが届くようになった。

 広瀬さんの作品は幻想的でメルヘンチックなものが多い。童話「長靴をはいた猫」の主人公、夜空に架かる虹と滝、花に囲まれたタワーなど。「日常の向こう側にある世界への思いを表現している」という。

 東日本大震災直後には、鎮魂の思いを込めて仕上げたホタルブクロとホタル、小さな銀河系を組み合わせた作品が、同誌に掲載された。意図は伏せられていたが、被災地でホタルの群生地の復活に取り組む女性から、「活動のシンボルにしたい。同じ絵を描かさせてほしい」という電話があった。「復興や鎮魂の思いが通じたと感じてうれしくなった」と振り返る。

 二十年ほど前からは毎年この時期、干支(えと)をデザインした作品を依頼される。今年の作品は、日本の犬。大好きな猫と組み合わせた。

 高さ九・五センチ、幅八・五センチ、厚さ約二センチの木板が材料。ちょこんと座った柴犬風の犬が左手を上げ、両足の間には高さ一・五センチほどの猫が、同様に左手を上げている。タイトルは「開運 招き犬withにゃんこ」。最新号に一ページを丸ごと使って、作り方などが紹介された。

 広瀬さんは「トールペイントの作品を飾れば、普段の生活が華やかになる。描いている側も楽しくなる」と、新しい作品の構想を練っている。

(宮沢輝明)

 <トールペイント> 「ペイントをしたブリキ」(TOLE PAINT)という意味の欧州発祥の手芸。今ではブリキ板以外に家具などの木製品やガラス、陶器などに絵の具で絵を描くことを指す。生活雑貨に新しい模様や図柄が加わることで、普段の暮らしが彩られるとして女性を中心に人気がある。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

衆院選2017 静岡

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索