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《経済》 日欧EPA 林業にも影響

◆天竜材加工業者「品質で差別化」

品質にこだわった天竜材の製材加工を手がける永田木材の永田博一社長(右)=浜松市北区で

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 日本と欧州連合(EU)が大枠合意した経済連携協定(EPA)で、関税撤廃の対象となった農林水産物の品目に、EUが日本に輸出する住宅用木材の「構造用集成材」も含まれている。既に価格面で競争力のある欧州産の集成材の関税がなくなることで、静岡県の林業にも競争激化の波が及ぶと予想され、関係者は今後の影響を注視している。

 構造用集成材は複数の板を接着剤で貼り合わせて作る木材で、住宅の柱や梁(はり)などに使われる。日本が欧州産集成材にかける3・9%の関税はEPAの発効後から段階的に引き下げられ、八年目にゼロになる。集成材のほか、木を削った細長い削片(ストランド)を並べて接着した板(OSB)などにかかる2・2〜6・0%の関税も同様だ。

 欧州から集成材の輸入量が増えれば、スギやヒノキなどの丸太から切り出した木材(無垢(むく)材)を生産する県内の林業にも影響は及びそうだ。県森林組合連合会の望月鉄彦・代表理事常務は「現在も欧州の集成材は国産の無垢材よりも安価で、関税がゼロになれば価格面での競争は厳しくなるとみられる」と語る。

 欧州産の集成材は、阪神大震災後の復興で木材需要が高まった一九九〇年代から国内への輸入が増えたという。フィンランドやオーストリア、ルーマニアが主な生産国で、農林水産省のまとめではEUから日本への輸入額は二〇一二〜一四年の平均で年間三百九億円だった。

 安価な海外の集成材が流入する一方で、県産の無垢材の魅力をアピールして価格競争から一線を引こうとする動きもある。天竜材の製材加工を手がける永田木材(浜松市北区)は、無垢材を扱っている。永田博一(ひろいち)社長(66)は「価格と品質とで顧客が重視するニーズの二極化が進んでいる。本物志向の木材を求める需要に特化したい」と語る。

 同社は天竜地域の山主から樹齢七十〜百年のスギの丸太を中心に仕入れ、板状に加工してから一年間かけて屋外で自然乾燥させることで、丈夫な木材に仕上げる。「四季の変化とともに水分を吸ったり吐いたりする無垢材は、住宅で暮らす人の体にも優しい」と説明する。

 輸入材との価格競争だけでなく、人口減に伴って住宅着工数が伸び悩む国内の林業を取り巻く環境は厳しい。「山主や住宅を建てる顧客との間で『顔』の見える関係を築き、良質な木材を届け続けることで時代の変化に対応したい」と見据えている。

(西山輝一)

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