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《経済》 スズキ技術者 市村産業賞

◆塗装せず着色 独自樹脂開発

 塗装をせずに着色する独自の樹脂材料を開発し、自動車用内装パネルに実用化したとして、スズキの技術者3人が、優れた科学技術を表彰する「市村産業賞・貢献賞」に選ばれた。揮発性有機化合物(VOC)を含む塗料を使わずに環境への負荷を抑えるとともに、鏡面のような光沢感を出した点が評価を受けた。都内で26日に贈呈式がある。

 独自の樹脂材料は、カラフルな車体が特徴の軽自動車「ハスラー」(二〇一四年一月発売)の内装に使用。運転席や助手席前のパネルに採用し、特別仕様車も含めて白や赤、黄、オレンジ、カーキの五色を設定している。全面改良して今年発売した小型車「スイフト」や軽「ワゴンR」のカーナビ周りのパネルにも採用した。賞では「従来は黒系が中心だった内装に、多彩な新しい加飾スタイルを実現した」と評している。

 スズキの技術者はハスラー発売に合わせて、独自の樹脂材料の開発を進めた。三菱化学とともに、植物性由来のイソソルビトを主原料とする樹脂材料のバイオポリカーボネート(バイオPC)を開発。特殊スチレン系ゴムなどを配合し、衝撃や熱、光への耐久性を高めた透明な樹脂をつくった。

 塗装ではなく、溶かした透明樹脂に顔料を混ぜる方法で色を付け、内装パネルに成型した。パネルから発生するVOCの量は、塗装をした樹脂部品に比べて98%削減することができた。

 開発では樹脂を透明に保ちつつ耐久性を高めることで苦労した。環境・材料・生産技術開発部の深見優之助さん(37)は「耐久性を高めるために樹脂に複数の素材を配合すると、色が濁ってしまう。鮮やかに着色するには樹脂を透明に保つ必要があり、配合の方法などで試行錯誤した」と振り返る。

 樹脂材料の量産化に関わった四輪ボディー設計部の福田智子さん(31)は「何度も製造現場に足を運び、議論を繰り返しながら課題を乗り越えてきた」、四輪内装設計部の野末将之さん(36)は「若手社員を中心に協力し、限られた期間で開発することができた。これからも良い車づくりを目指したい」と語った。

(西山輝一)

 <市村産業賞> 科学技術の進歩や産業の発展に貢献した個人やグループを表彰しようと、リコー創業者の市村清氏の発案で創設した賞。新技術開発財団(東京)の主催。今年の49回目は本賞(1件)、功績賞(2件)、貢献賞(5件)を選んだ。スズキの貢献賞の受賞は2008年度以来、8年ぶり4回目になる。

 

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