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近江真綿、後世へ紡げ 米原の山脇さん「守るのが使命」

昔と変わらない製法で薄い真綿を作る女性=米原市岩脇の山脇源平商店で

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 米原市岩脇で近江真綿を守っている山脇源平商店社長、山脇和博さん(70)が一大プロジェクトに挑んでいる。江戸時代、彦根藩から「無類飛切御免(とびきりごめん)細工」のお墨付きを与えられた近江真綿を作り続け、今は、自社で養蚕から製品化までの全工程を担う仕組み作りを目指す。「伝統産業を後世に残し、ブランドを守るのが使命」と意気込む。

 山脇源平商店は江戸時代の一七三〇年ごろに創業し、山脇さんは九代目に当たる。真綿は絹製品の一種。古くから全国で作られ、着物の中綿に使われた。生産が盛んだった岩脇地域でも昭和三十年代までは六十九軒の農家があった。

 その後、中国をはじめ外国から安価な真綿や綿の輸入が増え、ナイロンなどの化学繊維も出回ると、真綿産業が衰退。現在、真綿を製造しているのは福島県と滋賀県の六社で、県内では山脇源平商店を除くと、米原市内の二社がほそぼそと生産しているにすぎない。

養蚕に挑戦し始めた山脇さん=米原市岩脇の山脇源平商店で

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 自社で養蚕に取り組もうと思い立ったのは三年ほど前。高齢化や後継者不足で養蚕業が深刻になっている現状を知り、真綿の原料が安定的に供給できなくなると危ぶんだ。「このままではあと十年もすれば近江真綿を作れなくなるのでは」。昔ながらの製法で純国産の近江真綿を作り続けようと立ち上がった。

 山脇さんにとって養蚕は初めての経験。二年ほど前から養蚕地として有名な群馬県や栃木県の養蚕農家を訪ね、道具やカイコの飼育方法を一から学んだ。昨年二月からはカイコの餌になる桑の栽培も始めた。

 新たに養蚕用の建物も建て、今月から七千五百匹を飼育。「やりながら覚えるしかない」。養蚕農家から吸収した知識を基に試行錯誤を続ける日々だ。将来は十二万匹まで増やす計画。桑畑も着々と整備を進めている。自前の敷地や近くの休耕地を活用し、この二年間で千四百本を植えた。来年にも六百本増やす。

 将来は、山脇源平商店独自の真綿を生み出すのが目標だ。高品質に加え、抗菌性や色合い、しなやかさなど特色を持った真綿を世に出すには、たゆまぬ研究が欠かせない。山脇さんは「寝具店などにこれまでにない商品を提案できるようになれたら」と夢を語る。伝統を守りながら、新たな歴史を紡ぐ。

カイコの餌にするため昨年から始めた桑畑=米原市岩脇の山脇源平商店で

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     ◇ 

 山脇源平商店は二十八日まで、桑の枝を細断・粉砕する機械を導入するため、インターネットで資金を集めるクラウドファンディングも実施中。細かくした枝は桑畑の肥料にする。協力者には金額に応じ、洗顔用の真綿や膝掛けなどを贈る。「FAAVO北びわこ」から検索できる。

 (稲垣遥謹)

 

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