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計画ぎりぎりに焦り 24年国体の主会場、用地取得が難航

用地確保が難航している、第3種陸上競技場と駐車場の予定地=彦根市松原町で

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 二〇二四年の滋賀国体の主会場として整備される「彦根総合運動公園(仮称)」の用地取得が難航している問題で、県は計画より八カ月遅れの十一月中に取得を終えることを目標に、任意買収を進めている。だが今月五日現在、買収予定地(計六・一ヘクタール)のうち、合意に至っていない八人の約一・五ヘクタールが未取得のまま。任意買収できなかった場合には、県側は「強制収用も辞さない」と表明している。なぜ、こうした事態に発展したのか。

 「難航するとは想定していなかった」。三日月大造知事は一日、県議会九月定例会議の一般質問で竹村健議員の質問にこう答え、用地取得の遅れに対する思いを吐露した。主会場としての活用が決まった一四年五月に、彦根市とともに取得を進める約束をしたことを挙げ、計画通りに進むと考えていたという。

 竹村議員が彦根市の責任について問うと、三日月知事は答弁で「一定の責任がある。事態を打開できるよう、共に取り組んでいきたい」と強調。主会場を彦根以外にする可能性については「スケジュールを考えて極めて困難だ」と語った。

 県スポーツ局によると、地権者との用地取得交渉の第一回説明会は、主会場に決まった八カ月後の一五年一月に開催。条件面の交渉に入ったのは、昨夏だった。だが、合意を得るスケジュールが徐々に狂い出し、取得を終える予定だった今年三月に合意できたのは、全地権者の六割にとどまった。担当者は「取得を終えるまでの期間に、もう少し余裕を持たせておけば良かった」と振り返る。

 県スポーツ局によると、用地売却に合意しない地権者の理由はさまざま。計画地周辺は干拓による埋め立て地で、「先祖が苦労して手に入れた土地なので、簡単に手放せない」といった声がある。さらに「長年住んでいて、愛着がある」という人も。合意に近づいている地権者もいるが、一部の人との交渉はあまり進んでいないという。

 用地取得の遅れで、基盤工事や地盤対策工事にも影響が出ている。県スポーツ局によると、取得がさらに一年以上遅れると、二三年三月としている完成目標の時期を、見直す必要に迫られるという。二三年度には滋賀国体のリハーサル大会を行う予定だが、この実施に影響する恐れもある。

 このため、三日月知事は県議会での答弁で「十一月中に任意買収できなかった場合、用地取得の選択肢として、強制収用を検討せざるを得ない」と説明した。強制収用には全体で一年数カ月かかるといい、スケジュールを見ればぎりぎりの判断だ。

 彦根市や県によると、地権者の理解を得ようと、大久保貴市長がこれまで複数回にわたって地権者宅を訪問。九月十一日には西嶋栄治副知事も一緒に回った。今後は、三日月知事が直接、地権者宅を訪問することも視野に入れている。

 三日月知事は答弁で「地権者からご理解、ご協力が得られるよう、全力で取り組んでいく決意だ」と強調。一方で、「用地を取得する選択肢として、収用手続きに入ることも検討せざるを得ないが、そうならないようにしたい」と苦悩を見せた。

◆思い、寄り添って

 「引っ越せと言われても、この土地に愛着がある。家族一人一人の思いも違う。すぐに結論は出ないさ」。彦根総合運動公園の用地取得が難航している問題を取材するたび、前任地の長野県の松本支局で聞いた、松本市から用地売却を迫られた男性の言葉がよみがえる。

 用地取得は、難航することが少なくない。計画からスケジュールが遅れれば遅れるほど、県や市は焦るだろうが、それでも地権者の思いに寄り添って進めてほしい。

 (成田嵩憲)

 <彦根総合運動公園整備計画> 彦根総合運動場を約200億円かけて再整備し、約22ヘクタールの敷地に、第1種と第3種の二つの陸上競技場と、野球場などを備える計画。選定では、希望が丘文化公園(野洲、湖南市、竜王町)とびわこ文化公園都市(大津市、草津市)も候補地に挙がったが、交通アクセスが優れていたり、スポーツの拠点として知られたりしていた点から、2014年5月に決まった。

 

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