トップ > 滋賀 > 9月13日の記事一覧 > 記事

ここから本文

滋賀

東レ瀬田工場、衣料開発拠点一新 豪雨もリアルに再現

被験者が入室し「気温25度で1時間100ミリの降雨」を再現した際の人工気象室=大津市大江の東レ瀬田工場テキスタイル・機能資材開発センター、テクノラマG3で

写真

 大津市大江の東レ瀬田工場に今年6月、テキスタイル・縫製品の開発拠点「テクノラマG3」が竣(しゅん)工した。開発衣料の試験のために備えてきた人工気象室の数を増やしたほか、繊維素材情報を一括で管理する「テキスタイルライブラリー」も新設。施設の内部はどうなっているのか知ろうと6日、瀬田工場を訪ねた。

 「テクノラマ」の名前は、「テクノロジー(Technology=技術)」と「パノラマ(Panorama=次々変化する光景)」に由来する。同工場内で紡績から縫製までの工程(繊維高次加工)における技術と商品開発を行う「テキスタイル・機能資材開発センター(テキ資開センター)」の一部。その役割は開発商品の性能評価で、「軽いのに暖かい」「汗で蒸れないのに防水」といった高機能衣料からスポーツウエアまで、多彩な商品を対象に実験を行っている。

 メイン設備の一つ「人工気象室」では、気温や湿度、降雨量といった項目を調整することで、さまざまな気象条件を再現。気象室自体は同工場に初代テクノラマ(G1)が誕生した一九八三年当時から備わっているものの、いっそう「現代の気象」に近づくようリニューアルされている。

 例えば、G1に備わっていた「降雪」機能は、一時間あたり〇〜二〇〇ミリに設定できる「降雨量」機能になった。テキ資開センターの清水敏昭所長は「G1の頃はスキーブームで、ウエアの試験が多かったが、最近は豪雨が多い。ここでは時代に合わせた気象を再現できる」と説明する。

モニターで人工気象室内の温度や湿度、降雨量などを調節する職員=大津市大江の東レ瀬田工場テキスタイル・機能資材開発センター、テクノラマG3(ローマ数字の3)で

写真

 気象室は縦五メートル、横六メートル、高さ四・五メートルで、ステンレス張り。今回はさらに、「副室」と呼ばれる気象室を二部屋、新たに併設した。衣料を着用した被験者が計三つの気象室を行き来することで、急激な天候の変化を想定した実験が可能になったという。

 実際のテストでは、筋肉の動きを調べる筋電計や発汗計なども活用し、生理学的な解析も実施。さらに「仮想空間トレッドミル」と呼ばれる設備も導入した。例えば極寒地を再現した試験で、大型モニターに映った雪山の景色が、被験者の歩行速度に合わせて変化。仮想空間での実験ができる。

 記者も実際にメイン気象室に入り、二五度で一時間に一〇〇ミリの雨を降らせてもらった。すると、室内はあっという間に「どしゃ降り」に。機械から出ているとは思えないほどリアルなぬるい風が、「フワァ…」と肌をなで上げる。屋外にいるかのように錯覚した。

 センターには他にも、これまでに同社が原糸から開発、生産した織物のデータを一元管理する「テキスタイルライブラリー」などを新設。新商品の開発時も、過去のデータをもとに操作するだけで、素材や製品の完成シミュレーションをパソコン上で確認できる仕組みだ。

 新たな設備が加わり、清水所長は「複合環境の再現が可能になり、さまざまな環境に対応する衣料がつくれるようになる。設計の幅が広がった」と期待する。あなたが手に取るその洋服も、もしかすると、テクノラマでの実験を経て、完成したものかもしれない。

 (高田みのり)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索