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いじめ不登校、女子中学生のSOS 大人の支援不可欠

いじめによる心因性難聴の可能性を指摘した女子生徒の診断書

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 学校でいじめに遭い、体調を崩すなどして不登校になる子どもが後を絶たない。夏休みが明ける時期は、特に登校をためらう子どもが増えると言われ、大人や学校の丁寧な支援が不可欠だ。湖南地域に住む中学1年の女子生徒(12)は、いじめに遭った頃から視力や聴力が落ちて7月中旬に不登校になり、病院で「いじめによる心因性難聴の可能性もある」と診断された。そのまま夏休みに入り、2学期から登校できるかどうか、不安を抱えて過ごしている。

 「他人を信用できない」。女子生徒は声を落とした。生徒によると、五月の連休前、入学直後に仲良くなったグループの女子から、突然、悪口を言われるようになった。廊下へ出ると、聞こえよがしに「きもい」「うざい」。理由に心当たりはなく、小学校時代から男子生徒と仲が良かったことや、動画アプリへの投稿で注目を集めたことが反感を買っているのではないかと考えた。

 悪口は連休明けも続いたが、担任教師に打ち明けてグループのメンバーに注意してもらうと、いったん収まった。だが、約二週間後にメンバーと諍(いさか)いがあり、立腹した女子生徒は教室で机を蹴飛ばしてしまった。

 教師を交えて話し合った後、双方が納得いかないまま謝罪をさせられた。その後、教師のいない所でメンバーから「チクリ」「きもい」「うざい」と連呼されるように。「きょうは何されるのかな」。次第に、学校へ行くのが怖くなった。

 六月に入って、嫌がらせはエスカレート。教室の席を他生徒の席とすり替えられたり、不在の間に机に置いていた紙がくしゃくしゃになっていたりした。無料通信アプリ「LINE(ライン)」で投稿を削除したことを批判され、学校でも無視された。教師には何度も相談したが、「(悪口は)放っておけ」などと言われるだけ。ラインに関しては「学校で起きたことは注意するが、ラインのことは学校は関知しない」と言われたという。

 女子生徒はその頃から、授業中に教師の声が聞こえにくくなり、黒板の字も見えづらくなった。病院へ行くと、両目ともに1・2あった視力は左0・15、右0・2に落ち、聴力については「心因性難聴の可能性もある」と診断された。七月中旬から不登校に。夏休みも、メンバーに会うのが怖くて、ほとんど外出できない。生きているのが嫌になり、インターネット上に「学校に行きたくない」と書き込んだこともあった。

 「一学期は無駄に終わり、何も楽しくなかった。(いじめたメンバーらの)顔は一生見たくない」と吐露する女子生徒。それでも、今の願いは「学校へ行きたい」ということ。顔を伏せ、涙をぬぐった。

 この件について、学校側は「現時点で言えることはない」と取材に応じていない。

◆「状況変わらない」卒業生ため息

 この女子生徒が通う湖南地域の中学校は、「いじめを許さない学校づくり」に取り組んでいるが、それでも状況は改善していない。

 県内高校に通う女子生徒(15)は、同じ中学校に在籍していた時、いじめに遭ったという。教室に置いていた自分のかばんから生理用ナプキンを取り出され、男子生徒の前で披露されたり、上靴を自転車置き場の屋根の上に隠されたり、靴に画びょうを入れられたりした。げた箱に「死ね」と書かれた手紙が入っていたこともあったという。

 女子生徒は「負けたくなかったから、学校には通い続けた」と振り返る。同じようにいじめで不登校になった後輩がいることを知り「学校は何も変わっていない」とため息を漏らした。

◆「人の命奪う行為」理解して

 二〇一一年に大津市で中学二年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題をきっかけに、いじめ防止対策推進法が制定されて五年。それでも今なお、いじめ問題が続く現状に、男子生徒の父親(53)は「いじめは人の命を奪う行為。いまだに理解しない大人や子どもがいるから、いじめが繰り返される」と悔しがる。

 近年、被害に遭った家族と、いじめを否定する学校や教委が対立するケースが目立っている。こうした状況を憂い「なぜ推進法ができたのか、いま一度、この法律に目を向け、被害に遭っている子どもを助けてあげて。学校に戻りたいという不登校の子がいれば、戻れる状態にしてあげて」と学校や教委に呼び掛ける。その上で「加害生徒には猛省を促し、改善されなければ、出席停止や転校させることも視野に入れてほしい」と訴えた。

 (浅井弘美)

 

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