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父信じ、長男30年越し喜び 日野町事件、再審開始決定

日野町事件の再審開始決定を受け、記者会見する阪原弘元受刑者の長男・弘次さん(右)=大津市で

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 日野町で酒店経営の女性=当時(69)=が殺害され、店の金庫が奪われた「日野町事件」で、強盗殺人罪で服役して病死した阪原弘元受刑者=死亡時(75)=の再審が十一日、大津地裁に認められた。遺志を引き継いで再審を申し立てた長男の弘次さん(57)と弁護団は大津市内で会見し、それぞれの思いを語った。会見での主な発言は次の通り。

 弘次さん おかげさまで再審開始が認められた。三十年が過ぎた。再審請求をやめようという時期もあったが、各所からの「がんばろう」という声があって、この日を迎えることができた。決定文書をいただいて、最初は気が動転していたが、今は非常にうれしい。

 −決定のポイントは

 伊賀興一弁護団長 挙げるのが難しい構成。新旧証拠を総合評価すると「犯人ではない疑いが生じる」と、いろんな論点で、ほぼもれなく論じている。再審が開始されたほかの事件のように、別人のDNA型が検出されたり、真犯人が現れたりしたのではないが、再審開始となった。

 −お母さん(阪原さんの妻)への報告は

 弘次さん 裁判所を出て、会見場となる弁護士会館に向かう途中に電話した。声が震えていたので、多分泣いていたと思う。「おまえらが頑張ってくれたから。ありがとう」と言っていた。

 −再審開始決定を受けて思い出した阪原さんの姿はあるか

 弘次さん 逮捕の前夜、「おまえらだけはやっていないと信用してくれ。父ちゃんは何もしてへんのや」と大泣きしながら言っていた。父の涙を見たのは多分初めてだったと思う。

 −墓前への報告は

 弘次さん あすかあさってかは分からないが、報告には行く。今は喜びをかみしめたい。

 (日野町事件取材班)

◆住民「警察は捜査しっかり」

 殺害された女性が酒店を営んでいた日野町だが、三十年以上前の事件を知る住民はすでに少なくなっている。事件を知る住民のうち、かつての酒店の近くに住む女性(62)は、嫁いで来た翌年に事件が起こったといい、「(酒店の)前の道を通るたび、『親切なおばちゃんやったな』と頭をよぎる」と振り返る。再審開始決定に「他に犯人がいるかもしれないと思うと怖い。警察はもっとしっかり捜査をするようにして、真犯人も見つけてほしい」と注文を付けた。

 一方、酒店の二軒隣で食料品店を営んでいた女性(86)は「他に犯人がいるとは思えない」と決定に疑問。各戸に電話がなく、酒店まで借りに行っていた時代。家に上がって酒などを振る舞われている阪原元受刑者を頻繁に見たというこの女性は「三十年以上もたって、いまさら(判決を)ひっくり返すのは難しいのでは」と語った。

◆西山美香さん駆け付け

阪原元受刑者の長女(左)と握手を交わす西山さん=大津地裁前で

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 大津地裁前には、湖東記念病院(東近江市)で起きた人工呼吸器事件で殺人罪に問われ、昨年十二月に再審開始が認められた西山美香さん(38)も駆けつけた。

 午後二時半すぎに支援者の間に「出てきた」「走ってるぞ」と声が上がると、西山さんは人の波をかき分けるように弁護団の近くへ。掲げられた「再審開始」の文字を見て手を大きくたたき、歯を見せて喜んだ。

 「こんなに小さい滋賀で二つも冤罪(えんざい)事件があるなんて、裁判所はどう思ってるのかなと思っていた」と西山さん。目頭を押さえながら「阪原さん家族には『良かったね、おめでとう、やっぱりお父さんはやってなかったんやね』と伝えたい」と語り、阪原元受刑者の家族や支援者と手を握りながら喜びを分かち合っていた。

◆正当な判断、高く評価

 <滋賀弁護士会・片山聡会長のコメント> 今回の裁判体が真摯(しんし)に審理を進め、正当な判断をしたことを高く評価する。検察官は公益の代表者として、決定を謙虚に受け止めて即時抗告せず、再審公判において公正な裁判を実現すべきだ。

 

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