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主君・秀吉いさめる三成描く 彦根の矢的さんが小説出版

三成最後の賭けを出版した彦根市在住の矢的さん=彦根市古沢町で

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 彦根市古沢町在住の歴史小説作家、矢的(やまと)竜さん(70)が、豊臣秀吉の側近で地元、佐和山城主だった石田三成を主人公にした新作「三成最後の賭け」を新潮社から出版した。文禄・慶長の役(朝鮮出兵)を中心に、関ケ原の合戦での三成の死までを描いた。矢的さんは「三成の生きざまは現代にも通じる」とアピールする。

 秀吉は朝鮮半島に兵を出し、明(当時の中国)までも手中に収めようとする。作品では、秀吉の政敵だった徳川家康が、出兵によって豊臣政権の国力や兵力の低下を図ろうと暗躍。動きを見抜いた三成は、主君の意にそぐわなくとも出兵を止めようと画策する。

 矢的さんは、関ケ原まで続く両者の因縁の始まりが朝鮮出兵にあると仮説を立てた。通説で史実でないとされる三成の出兵反対をフィクションとして描くことで、史料からは見えない新たな一面を浮き彫りにした。

 矢的さんは京都府京丹波町出身。彦根市の滋賀大経済学部を卒業後の二〇〇一年、働いていた東京でリストラに遭ったのを機に小説を書き始めた。文学賞に作品を投稿するなど十年間の下積みを経て一一年にデビュー。翌年、大学時代に過ごした彦根に移住した。

 「ダーティーなイメージもあり、ためらった」。彦根に来た当時は三成について書く気はなかった。考えが変わったのは二年前。趣味のハイキングで、三成が関ケ原での敗戦後に捕らえられたとされる長浜市木之本町の洞窟に行き、三成に思いをはせた。

 洞窟の狭さに驚くと同時に自身の故郷を思い返した。京丹波町の洞窟で、冬眠中のコウモリをたき火をして起こした少年時代。自身の思い出を作品の冒頭で三成のエピソードとして描こうと執筆に取りかかった。

 「三成が秀吉の過ちをいさめようとした時のように、上司が間違っていると気付いた時、部下はどんな対応をするべきか」。四百年以上たっても同じ課題を抱える現在のサラリーマン社会。矢的さんは「読んだ人が三成の生き方にヒントを見いだしてもらえたら」と続ける。

 四六判、二百五十六ページ。千八百三十六円(税込み)。全国の書店で購入できる。

 (大橋貴史)

 

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