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部活動の悲劇なくしたい 愛荘の事故遺族ら指導法学習会

部活動の事故防止へ学習会を続けるエンジェルズアーチのメンバーら。左端は村川さん=東京都内で

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 愛荘町の秦荘(はたしょう)中1年生だった長男を部活動中の事故で亡くした村川弘美さん(50)=東京都八王子市=らが、任意団体「エンジェルズアーチ」を立ち上げて一年余になる。「息子の死を無駄にしたくない」。部活動中の事故を防ごうと、同じ境遇の親たちと手を携え、専門家を講師に招くなどした学習会を各地で重ねる。

 村川さんの長男康嗣(こうじ)さん=当時(12)=は二〇〇九年七月、柔道部の練習中に当時の顧問から技をかけられるなどした後に意識不明となり、約一カ月後、急性硬膜下血腫で亡くなった。

 保育士の弘美さんが勤務先から病院に駆け付けると、康嗣さんは瞳孔が開き、呼びかけに応じなかった。弘美さんは主治医らに「助けてください」と頭を下げ、術後一週間で脳死を告げられても「絶対助かる」と祈り続けた。

 顧問は「(康嗣さんは)頭を打っていません」と繰り返し、調査を求めても学校の腰は重かったという。

 「事故が起きてからでは遅い」と、村川さんらが「エンジェルズ」を結成したのは一六年十一月。同じように部活動の練習中に子どもを亡くした兵庫県や大分県、東京の遺族が加わった。趣旨に賛同した専門家が協力し、教員や学生向けに子供の安全確保に向けた学習会を昨年二月から開催。同十二月までに日本体育大や昭和女子大など五カ所で、延べ約千百人が聴講した。

 講師を担った日体大の南部さおり准教授(スポーツ危機管理学)は、誤った指導から子供が死に至る危険性を分かりやすく解説した。早稲田大の永島計教授(生理学)は熱中症への対応の仕方を紹介。NPO法人スポーツセーフティージャパン代表佐保豊さんは、学校でのアスレチックトレーナーの必要性を訴えた。

亡くなった康嗣さん。スライドショーではこの写真が上映される

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 会場では、子供たちの生前の様子を伝えるスライドに涙を流す聴講生もいる。康嗣さんの場面では「将来の夢は建築家」「母ちゃんの家を建てたろなあ」といった言葉が紹介された。

 村川さんが特に懸念するのは、経験や指導力が乏しい教員が部活動の顧問を任されているような例だ。

 「学習会に参加した教師から『どうやって指導していいか分からない』という声を聞く。経験はあっても科学的な根拠に基づく指導がなされているのかも疑問だ。部活動やスポーツの現場が、子供をしっかり守る仕組みに変わってくれることを願う」と話している。

 (浅井弘美)

 <愛荘町立秦荘中柔道部の死亡事故> 県内有数の強豪校だった秦荘中柔道部で、村川康嗣さんが技を掛け合う「乱取り」の練習中、上級生に繰り返し投げられた後、元顧問にも投げられ、意識を失った。県警は2012年3月、元顧問を傷害致死容疑で書類送検したが、大津地検は不起訴に。遺族が損害賠償を求めた民事訴訟では、大津地裁が元顧問の過失を認め、町のみに約3700万円の支払いを命じた。元顧問の賠償責任を求めた遺族側の上告は最高裁で退けられた。

 

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