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<湖国の一年 回顧2017>(1) アユ記録的不漁

水揚げされたアユの稚魚。昨季ほどではないが今季も不漁が続きそうだ=大津市本堅田の堅田漁港で

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 「琵琶湖のアユ、大丈夫か」。昨季の漁が解禁された昨年十二月、釣り仲間の岐阜県の漁協職員から電話があった。「岐阜の川に放流する量が、全然確保できんみたいだわ」。琵琶湖漁業の大黒柱の不漁情報に驚いた。

 港に行くと、漁師がたばこをふかしてため息をついていた。「琵琶湖のどこにも群れがおらん」。今年一〜三月の漁獲量は平年の十分の一程度。やがて船のガソリン代がまかなえず、湖に出なくなる漁師も出てきた。

 湖魚販売店の店主も気をもんでいた。アユは例年、春になると店頭に並ぶが、四月中旬でも大半の店に入荷していなかった。湖魚が自慢の居酒屋でもメニュー表からアユの文字はなくなり、常連客も嘆いていた。

 漁獲量が一転して上向きだしたのは同月末ごろ。港では、水揚げされたバケツいっぱいのアユに、漁師らが少し顔をほころばせたが、すぐに表情を引き締めた。「まあまあやな。でもまた、不漁になるかもしれん」

 県漁業協同組合連合会によると、岐阜県内の河川に放流する分も、一部を除きぎりぎり間に合ったという。昨季も例年通り、大勢の友釣り客が釣り糸を垂らし、まずまず盛り上がっていた。

 だが最終的には、昨季の漁獲量は平年の三分の一程度だった。不漁の原因について県は十四日、「昨秋に平年の五倍近い大量産卵が起きたが、ふ化後の成長に必要なエサが不足したため」などと結論付けた。

 一方、漁師たちは「不漁は慢性的ではないか」と疑問を投げかける。今季の漁獲量は昨季の二・五倍ほどだが、平年をはるかに下回るからだ。天然アユの産卵量は例年の2%しかなく、昨季と同様にアユの群れも見られない。

 県漁連は春以降の漁に温存しようと、来年一月の操業自粛を決めた。食用にする稚魚の漁も実施しないという。担当者は「アユの異変は続いている。今後を楽観視できない」と話す。

 ある漁師は今後に不安を感じている。「琵琶湖の生態系が狂ってしまったのではないか。問題はもっと深いところにあるんじゃないか」

 (成田嵩憲)

 <琵琶湖のアユ> アユは「年魚」と呼ばれ、1年で生涯を終える。漁獲したアユの多くは養殖業者を経て、春のアユ釣り解禁を前に岐阜県を中心に県外の河川に放流される。県内では、甘露煮やてんぷらなどにして食べることが多い。漁獲量は近年、400〜600トンだったが、昨季は推定200トン足らずと記録的な不漁だった。

     ◇     

 今年もあと一週間あまり。県内でもさまざまなニュースが駆け巡った。取材した記者が当時を振り返りつつ総括する。

 

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