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山門水源の森、獣害深刻 県が市民グループ支援

獣害防止柵の資材を持ち運ぶ水源の森を次の世代に引き継ぐ会のメンバー=長浜市の山門水源の森で(山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会提供)

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 琵琶湖の水源の一つとなっている県有林「山門(やまかど)水源の森」(長浜市)で、ニホンジカによる食害が深刻となっている。希少植物が多数自生するが、シカに食い荒らされて表土が見える場所もあり、県は土壌の侵食が進む前に被害を食い止めようと、地元の環境保全グループの支援に乗り出す。

 水源の森は森林(五七・九ヘクタール)と県内最大の湿原(五・六ヘクタール)で構成し、全体では東京ドーム一三・五個分に当たる。琵琶湖に水を供給する水源の役割も果たしており、森から流れ出る大浦川ではビワマスの産卵が盛んに見られるという。

 環境保全を進める市民グループ「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」によると、食害が目立つようになったのは約十五年前。その後も、シカやイノシシなどによる希少植物の芽や周辺の樹木の皮の食い荒らしが進んでいる。

 引き継ぐ会は二〇〇七年にササユリの保護を始め、一一年からは獣害防止柵を設置。標高差三百メートルの森を二キロ前後歩いて資材を運ぶには、労力や資金面で限界があり、被害拡大に対策が追いついていなかった。

 このような状況から県は一七年度、対策費百五十万円を計上し、距離を短縮する資材運搬路(全長二百メートル)を整備。これまでに引き継ぐ会が設けた獣害防止柵に加え、四千五百平方メートルを囲う柵の費用を負担する方針だ。

地面の新芽をつまむニホンジカ=長浜市の山門水源の森で(山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会提供)

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 山門水源の森は、寒冷な気候と温暖な気候の植物が入り交じって育ち、自然交雑した希少種もあるのが特徴。県森林政策課の担当者は「引き継ぐ会と連携し、健全な保全を進めたい」と今後の展望を語った。

 会の前事務局長の藤本秀弘さん(74)=大津市穴太三=は「資材を担いで標高差二百〜三百メートルを登るのは至難の業なので、作業道の新設はありがたい。森林の環境保全に向け、県の支援が後押しになる」と歓迎する。

 (成田嵩憲)

 <山門水源の森> 林野庁の水源の森百選のほか、環境省の「日本重要湿地500」や県の水源涵養(かんよう)保安林などに指定されている。雪国に多いユキツバキと温暖な気候を好むヤブツバキが自然交雑した中間種「ユキバタツバキ」の群落もある。このほか環境省が絶滅危惧2類に指定しているヒメミクリや準絶滅危惧のトキソウ、ヒメタヌキモなども自生する。

 

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