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<迫る>(下) こんな名古屋に 

2017年4月16日 紙面から

(写真右)女性客と気さくに話す河村さん=名古屋市千種区北千種で。(写真左)つまみの太巻きを頬張る岩城さん=名古屋市中区栄3で

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 二十三日投開票の名古屋市長選で、事実上の一騎打ちを演じる河村たかしさん(68)と岩城正光(まさてる)さん(62)に、ざっくばらんに語ってもらう最終回のテーマは「どんな名古屋を描くのか」。選挙戦前の三月下旬、なじみの酒場で二人の口からは、熱い思いが次々にあふれ出てきた。=届け出順 

◆河村さん 世界4大都市目指す

 トイレのため、いったん席を立ち、近所の客でにぎわうテーブルに分け入る河村さん。「名古屋城、よかったでしょう?」「最高っ」。天守閣の木造復元の関連予算案が市議会で認められて一週間余。余韻に浸るよう、女性客と乾杯した。

 木造復元も二年近い議論の末、目鼻は付いたよう。もう、市政の仕事はやり遂げたのでは。「これからは世界四大都市を目指すんですわ。ニューヨーク、パリ、ロンドン、名古屋」。名古屋城や熱田神宮を核とした歴史文化観光を盛んにする構想を描く。

 県と競合する名古屋港・空見ふ頭での大規模展示場整備でも、気張る。「中小企業の期待が大きいんです。聞いてみてちょうよ」。でも、盟友だった大村秀章知事との関係がさらに…。「心配にゃあ。くっついて離れて、トムとジェリーみたいなもんだでね」

 この八年、市民税減税や議会改革を前面に出してきたが、最近は、なごや子ども応援委員会や学習支援など、子どものための施策を熱く語ることが多くなった。なぜですか。

 「人間って、そういうもん。死んで、次にバトンタッチする」。三年前に弟を膵臓(すいぞう)がんで亡くし、自身も六十八歳。「おやじや、おやじのおふくろたちは八十二、三まで生きたが、五年くらい病気だった。自分もあと十年」。そんな焦りが、心変わりを促したのか。有線から一九八〇年ごろにヒットした「愛はかげろう」が流れ、哀愁を誘う。

 衆院議員時代「総理を狙う男」として名を売ったが、最近は「あの世で首相指名されるかも」とうそぶく。「あっちも伊藤博文がおって苦戦が予想されます」。総理の夢は断ち切った? 「いや、現世の方が可能性はあります」。夢を追い求めてきた気持ちに最後まで、ぶれはなかった。

◆岩城さん ハコモノより人重視

 気分が乗り、一曲、歌い終えた岩城さん。熱唱で、額からは汗。「僕ね、名古屋の田舎くささがいいと思うんだよ。緩やかに発展してるでしょ」。ウイスキーの水割りをちびりちびり、生まれ育った街への愛着が口を突いて出る。先日、公園の芝生にシートを敷いて、子育てママたちと膝詰めで、名古屋の課題について意見を交わした。お花見のようなゆったりした雰囲気で、本音を聞けた。「名古屋に生まれてよかった」とつくづく思う。

 「でもさ、一番心配なのが防災、減災対策なんだよ」。副市長時代、直接の担当ではなかったが、港、南、中川区の防災対策、名駅周辺の帰宅困難者対策が進んでいないのが気掛かりだった。岩城さんが市長になったら、南海トラフ巨大地震の備えで、まず何をしますか。「僕らは市民であり県民。まずは県と市の合同の防災局をつくらないといけない」。酔いが覚めたように、真剣そのものの顔つきで、また熱弁。

 この夜は、運転手役で妻の康子さん(60)も同席していた。お気に入りの店でくつろぐ夫を見て「基本的には迷わない人で、決めたことはやり通す。司法試験もそうだったんです」。夫を支える姿に、迷いはない。

 ご機嫌になってきた岩城さん。居合わせた男性客と、名古屋の将来について議論が始まり、次第に激論に。「名古屋に人を呼ぶための観光施策は?」と尋ねる男性に、すかさず「ハコモノづくりより人づくり。おもてなしで観光客を迎えますよ、僕は。木造の名古屋城ができたから、それだけで人が集まるというのは…」ときっぱり。「どういう結果になるか分からないけど、選挙は勝たなきゃ意味がない」。強く訴え、握手を交わした。弁護士時代も、酒場でも、市役所でも、軸足はいつでも市民とともに。

(市長選取材班)

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